大阪・なんばにあるディープスポット「味園ビル」の飲み屋街が今年いっぱいで閉鎖されることがわかった。味園ビルのオープンは1950年代。かつては「日本最大」といわれたキャバレー「ユニバース」なども存在したが、現在、営業を続けているのは、2階のスナックやバーなどが入る飲食店街のみとなっている。ビルは老朽化が進んでおり、閉鎖後は解体され、建て替えが検討されている。
閉鎖の理由には老朽化のほか、コロナ禍を経て地価が大幅に上昇し、賃料の採算がとれなくなったことが挙げられる。だが、詳しい人物に話を聞くと、こんな噂も。
「中国人が味園ビルの土地を買い取ったという話が出ていますね。解体後は高級ホテルかタワーマンションにするのでは、と囁かれています。この話が本当ならば、なんばの中心地ですから、かなりの高額で売れたと思いますよ」
昭和の飲食街の閉店といえば、2023年9月に76年間の歴史に幕を下ろした神戸元町の地下街「有楽名店街」が記憶に新しい。貸主の阪神電鉄は火災時の安全性の問題を指摘し、閉鎖を決定したが、その後の計画については明らかにされていない。
有楽名店街しかり、味園ビルしかり、オーナーの意向で閉鎖になるのは仕方がない。しかし、閉鎖後の計画が明らかにされないと、これまで通っていた常連客やファンは納得しないだろう。
味園ビルは筆者自身も時々訪れており、また、東京から知り合いが来て「大阪のディープな場所に行きたい」と言われた時には必ず連れて行く場所でもある。昭和の雰囲気を持つ場所がまたひとつ消えるということには、やはり言いようのない寂しさが残る。