テリー 最終プレゼンのスピーチ、やっぱり緊張しました? 僕、本番が近い日に「よろしくお願いしますよ!」って言ったら「そんなに軽く言うな」って怒られたよね(笑)。
猪瀬 テリーさんがあまりにも明るく「猪瀬さん、プレッシャーあるでしょう、プレッシャー!」って言うからさー。それはあるよ。北島康介さんの気持ちがよくわかったな。彼だけじゃなくて、オリンピック選手の気持ちね。絶対失敗しちゃいけない。英語が得意じゃなくても、カメラ目線で、ちゃんと最後まで言い切らなくちゃいけない。
テリー 日本人は外国にアピールするのが苦手だしね。
猪瀬 スピーチの内容はもちろんIOCに向けて話しているんだけど、実は日本人にも、日本のよさを伝えているんだよね。
テリー うんうん。
猪瀬 とはいえ、長所は短所と実は同じで、両義性がある。だから「人に親切」ということは、同時に決断力がなかったり、優柔不断だったりという捉え方もある。でも海外から帰ってくると、みんな「やっぱり日本はいいな」と感じるでしょう。そういう日本のいいところを、あらためていろんな人に知ってもらうこと。それが招致の成功につながることでもあったんです。
テリー なるほどね。
猪瀬 招致活動を通じて言いたかったのは、「ひとりひとりが自分自身の持ち場で頑張りましょうよ」と。政治にできることには限界があるから、オリンピック・パラリンピックをきっかけに「みんなで盛り上がっていこう」という気持ちを作ることが大事なんだと。
テリー アサ芸的には気になるところなんですけど、オリンピックをきっかけにして風俗に対して行政が取り締まったり、風紀が厳しくなったりすることはあるんですか。
猪瀬 そういうのは特に聞いてないけど。むしろオリンピックによってスポーツに接する機会が増えて、みんな元気になるでしょう。足腰が丈夫じゃないとその手の産業なんて成り立たないし。
テリー 確かに(笑)。じゃあ、夜の遊びに関しては安心してもいいですね。
猪瀬 僕はそういう意味でも、都民のアフター5をもっと充実させようと思っていたんだよね。だから都営バスも24時間やると。
テリー 渋谷から六本木まで、バスが24時間走ってましたよね。でも、あれは昨年10月で終了して。
猪瀬 続けたほうがよかったと思うけどね。サントリーホールでコンサートをやっても、10時半ぐらいでアンコールもそこそこにお客が帰っちゃう。みんな終電が心配だから。だから僕の考えでは、カジノも含め、アフター5の時間を膨らませることによって、消費を活性化しようと。
テリー 猪瀬さんは志半ばで都知事を辞めてしまったけど、もし都知事を続けていたら、他にどんなアイデアを出していたんだろう。
猪瀬 とはいえ、種はまいたと思っています。政策としては今も残っているし、方向性は作った。例えば防災面。都内の木造密集地で消防車が入れないような場所を50カ所指定して、その環境を変えていこうと。
テリー そう考えると、都知事っていうのは大変な仕事だよね。東京をよくする、オリンピックを招致する、ひいては日本を盛り上げていく。
猪瀬 そうだね。