社会
Posted on 2025年07月08日 08:00

【お盆のしきたり】墓前で宴会「沖縄シーミー」と中国「清明節」の意外で深い関係

2025年07月08日 08:00

 間もなくお盆の時期がやってくる。全国各地で先祖を敬い、墓参りや供養をする時期。東京や神奈川などの都市部や石川県、静岡県の一部地域では、いわゆる新盆として7月13日から16日に行われる。

 沖縄ではお盆は今年、9月上旬だが、それとは別に毎年4月(旧暦3月)に「シーミー(清明祭)」という独特の風習がある。

 シーミーには親族が集まり、墓前で酒を酌み交わしながら故人を偲ぶ、ユニークな先祖供養だ。シーミーの時期になると、スーパーやデパートには紅白かまぼこや魚の天ぷら、煮しめ、昆布巻きなどを詰めた「御三味(うさんみ)」と呼ばれる重箱料理がずらりと並ぶ。

 それを囲み、賑やかに過ごすのが沖縄流だ。酒が進めば墓前でカチャーシー(沖縄の踊り)が飛び出すことも珍しくない。沖縄の墓は大きく、墓前で宴会ができる広さで知られる。

 もっとも、華やかな宴の裏で大変なのは、女性陣らしい。沖縄出身の女性が苦笑いしながら言うには、
「酒を飲んでいるのは男ばかりで、女はお酌や準備に追われて大変」
 どこの世界でも墓前宴会の裏方は女性、という構図は変わらないようだ。

 陽気なシーミーのルーツは中国にある。中国の「清明節(せいめいせつ)」は約2000年の歴史を持つ伝統的な祖先供養の日で、毎年4月初め、家族が墓を掃除し、線香をあげ、紙銭を燃やして故人を偲ぶ。中国では国民の祝日となっており、帰省ラッシュが起こるほどの一大行事だ。

 なぜ沖縄と中国に似た風習があるのか。その背景にあるのは、琉球王国時代(15~19世紀)の歴史だ。当時、沖縄は中国・明清王朝と密接な交流関係を築き、儒教や祖先崇拝の文化が琉球に根付いた。中国の清明節をベースに沖縄の食文化や墓前の宴が融合し、今のシーミーが形作られた。

 沖縄の一部の家庭では「平御香(ヒラウコー)」と呼ばれる独特の平たい線香を焚き、「あの世でもご先祖様が困らないように」と願いを込めて、ウチカビと呼ばれる金銭を模した紙銭を燃やす風習が今なお、残っている。どこか中国の清明節と重なる部分があるのは興味深い。

 墓前でオードブルを囲み、酒を酌み交わし、カチャーシーが飛び出す陽気な沖縄スタイルの祖先供養。この夏、日本のお盆と沖縄のシーミーを見比べてみれば、意外な歴史のつながりと、宴の裏で奮闘する女性陣の姿が垣間見えることだろう。

(カワノアユミ)

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