世界の独裁者の「健康問題」は、世界的な関心の的となっている。そしてこの点は、中国の習近平国家主席も例外ではない。
直近で言えば昨年7月、「北京で開かれていた中国共産党の重要会議・三中全会で、脳梗塞を発症して倒れた」との衝撃情報が世界を駆け巡っている。キッカケとなったのは、中国国内のSNS上で拡散された、以下のような投稿だった。
〈おじさんが株主総会の最中に脳卒中で倒れた〉
投稿にある「おじさん」は「習近平を示す隠語」であり、「株主総会」は「三中全会を示す隠語」である。
その後、習近平が7月30日から8月19日まで公の場に姿を現さなかったことから、日本を含む西側諸国の諜報筋では、次のような情報が流れた。
「病院に緊急搬送された習近平は、20日間の入院加療を余儀なくされた」
さらに言えば、公務に復帰した習近平の健康状態については「今もなお、左半身のマヒが残っている」「中国の官製メディアは事実をひた隠しにしている」といった憶測が乱れ飛んでいるのだ。
習近平の健康不安説は昨年に始まったことではないが、脳梗塞の一件についてはファクトチェックが試みられた結果、多くの西側メディアは「根拠不明」と結論づけている。しかし、習近平の動静に詳しい国際諜報アナリストの見方は、いささか違っていた。
「習近平は今年の6月15日で72歳を迎える。年齢を考えれば、脳卒中や心臓発作による突然死、進行ガンによる衰弱死をはじめとして、『健康不安はない』と断じる方がよほど非合理的。習近平は外遊の際、マイボトルに入れた漢方薬(煎じ薬)を携行していると言われており、むしろ『何が起きてもおかしくない』とみるのが妥当でしょう」
独裁者といえども、老いから逃れることはできない。要するに「Xデー」へと至る命の時計は刻一刻、着実かつ非情に刻まれ続けていくということだ。
(石森巌)