この7月に沖縄県国頭郡に誕生する新たなテーマパークは「ジャングリア沖縄」。熱帯の自然を舞台にした没入型エンターテインメント体験として、ニュースになっている。ところが県内では「持続可能な観光地として成立するのか」という根源的な疑問が持ち上がっている。そして那覇市内のホテルスタッフからは、期待と同時に冷静な意見が寄せられていた。
「観光で地域が潤うのはありがたいこと。でも正直、大きな期待はしていません。那覇市からは交通の便がよくないので、市内のホテルにはあまり波及しないのでは」
那覇市からジャングリア沖縄へのアクセスは、車や高速バス、那覇港からのフェリーに限定されているため、交通の不便さが旅行計画の障害となっている。また、バスおよびタクシーの運転手不足が深刻な状況にあり、前日予約すら困難なケースが多発しているのだ。
那覇市在住の女性も次のように語っている。
「高齢の母を毎週、病院に連れて行っているのですが、市内のタクシーは前日予約ができなくて、当日に予約しています。それほど市内のタクシーは人出不足なんです。旅行者にとってタクシーの予約ができないのは、とても不便なのでは」
県内の主婦からは、地域住民が利用しやすい施設作りへの要望が示された。
「観光客向けだけじゃなくて地元の人も通えるような工夫があれば、もっと行きやすいのではないかと思います。例えば地元割や、子供向けの体験教室などです」
「ジャングリア沖縄」の入場料は大人6930円、子供4950円に設定されており、県内の平均所得と比較すると「日常的に行ける場所」とは言い難い。施設利用を促進するためには、価格面で地元とのバランスを取る取り組みが不可欠となる。
観光が地域に根付き、長期にわたって発展を続けるためには、単に魅力的な施設を提供するだけでは不十分。公共交通機関の充実、地元住民向け割引の実施や年間パスの導入といった施策を含む、持続可能な観光戦略が必要なのである。