沖縄本島北部の今帰仁村で、今年7月に開業予定のテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」の影響により、周辺地域では家賃の高騰が問題視されている。とりわけ名護市ではその影響が顕著で、名桜大学では新入生のうち、少なくとも30人がひとり暮らしを希望するも入居先が見つからず、学内施設での一時生活を余儀なくされている、とのニュースが報じられた。大学は現在、留学生センターなどを利用して学生を受け入れるほか、市とも連携し、支援体制の強化を進めている。
似たような現象は、熊本県でも見られた。世界最大級の半導体メーカーである、台湾のTSMC社が2024年12月、熊本県菊陽町で本格稼働を開始したのだ。
これにともない、多くの台湾人駐在員や技術者が県内に住み始めた。だが、名護市のような深刻な住宅不足や家賃高騰は起きていない。むしろ工場周辺の菊陽町ではワンルームの家賃が3万円台からと比較的安価で、空室も目立っている状況だ。
同じように大規模な企業進出や観光開発があったにもかかわらず、なぜ熊本と沖縄でこれほどの差が生じているのか。熊本の不動産関係者によると、
「名護市は急激な需要に対応しきれていないのでは。熊本では駐在員や長期滞在者が多く、家族向けの住宅が整備されているため、比較的安定しています。名護では観光開発の影響で単身者向け物件が不足し、中心部に需要が集中しているため、家賃が上昇しています。熊本ではTSMCの進出に向けて住宅供給が早期に進んだのに対し、名護では観光施設の開業が急激で、住宅整備が追いついていないのだと思います」
この指摘の通り、名護市では観光開発に伴う急激な需要増に対応するため、住宅供給の強化が急務である。特に単身者向け物件の不足が深刻化。大学や地元住民と協力し、短期的な解決策として学内施設の拡充や、民間の住宅提供を促進させることが求められる。