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記事全文を読む→医師・帯津良一の健康放談「足腰を鍛える運動は“てきと~”でいいのです」(2)
健康診断の結果に振り回されずに生き生きと生き、自分が健康であると実感するために、足腰だけは鍛えておきましょう。
最近は90歳でもかくしゃくとしている人が増えてきています。それでも彼らは一様に、「足腰が弱りましたなぁ」と言います。ボケてもいないし食欲もあるのですが、何もしなければ足腰だけは弱っていくのです。
確かに、足腰が弱ると年を重ねてからの活動範囲が狭くなります。自分の足で居酒屋に行くことができず、人におんぶされて行ったのでは、お酒だってうまくありません。やはり、足腰は鍛えておかないといけません。
足腰を鍛えるために私は、電車のホームへ行く際の階段は自分の足で上り下りするようにしています。あまりにも段数が多い時はエスカレーターに乗る場合もありますが、自分の脚を使った移動が基本です。
定年退職後は通勤電車に乗ることもなくなり、体を動かす機会が減少しがちですが、日常生活の中に「歩く習慣」だけは取り入れるようにしましょう。
ただし、無理はいけません。私が患者さんに歩く習慣を取り入れる指導をする時は、永井荷風の随筆「日和下駄」のような散策の方法をお勧めしています。
作品の中で荷風は、雨が降った時のことを想定して傘を携え、ゲタを履いて都内をぶらぶらと歩き回るんですね。しかも、かなりの長距離を。ただ歩き回るのではなく、最後になじみの食堂へ入り、カツ丼で日本酒を呑む。荷風にとっては「カツ丼」と「日本酒」があるからこそ、歩き回ることに価値が生まれるわけです。
最後に自分の“お楽しみ”を用意しておけば、歩き回ることが苦ではなくなり、歩いている最中も楽しくなる。義務として歩くのではなく、楽しみを持つようにすれば、運動が苦痛ではなくなるということが、この散策方法を勧めている理由です。
ちなみに、私は本屋が好きで、1~2時間過ごすこともざらにあります。ただ階段を上り下りして本を物色し購入するだけですが、結果としては結構な運動量になっています。つまり、運動のために散歩をしようとすると、しだいに散歩をすること自体が苦痛になってきますが、楽しみのために歩くことを取り入れると、自然と継続することが可能になるということです。
ガンの予防や治療にも適度な運動が必要だということは、世界中で言われていることです。この「適度」の度合いは、本人にしか把握できません。そう聞くと「適度とはどんな量」かと悩むかもしれません。しかし、「適当」あるいはもっと砕けて「てきと~」と考えてみるとどうでしょう?
何キロ歩けと決められているわけではないのですから、毎日運動量が異なっていてもいいのです。昨日は歩きすぎたなら、翌日は少なくすればいい。学生の部活ではありませんから、運動することが嫌になるほど鍛える必要はありません。鍛えるのではなく、「楽しく動く」を目安に始めてみてください。
◆プロフィール 帯津良一(おびつ・りょういち) 医学博士。東大医学部卒、同大医学部第三外科、都立駒込病院外科医長などを経て、帯津三敬病院を設立。医の東西融合という新機軸をもとに治療に当たる。「人間」の総合医療である「ホリスティック医学」の第一人者。
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