政治
Posted on 2025年02月11日 09:58

【ちょっとおかしな市議・区議たち】漫才コンビ「母心」と二刀流!故郷・富山県でトップ当選で「芸人は政治家向き」

2025年02月11日 09:58

 漫才コンビ「母心」で、頭にカツラを被った和服の女装姿で登場する「オカン」として知られるのが、嶋川武秀だ。彼はいまだに現役のお笑い芸人であると同時に、2021年から故郷の富山県高岡市で市議を、2023年からは富山県議となっている。どちらも1万票を大幅に超える、トップ当選だった。

 そのお笑いキャリアは、大学時代から始まる。お笑いサークルに所属し、地元のテレビ番組に出演。卒業してもあえて就職はせず、吉本興業が運営する東京NSC(吉本総合芸能学院)に入所。第8期だった。

 卒業して活動の場所に選んだのは東京ではなく、地方だった。中央は芸人が多すぎて、なかなか出番がない。だったら「地方発の芸人」として売り出す方がいい、との吉本の方針に従ったのだ。それも故郷・富山ではなく、神奈川、愛知と回って、あえて縁のない福島県を拠点にした。福島市の飯坂温泉で劇団「吉本弁当座」として、ステージだけでなく、新年会の余興など、様々な仕事を経験。漫才コンビ「母心」を結成し、あえて吉本の看板から外れて、自力でやっていく決断をした。本人の回想を聞こう。

「福島ではレギュラー番組もいただいて、母心でやっていくメドがついたんです。ところがその頃、あの東日本大震災が起きました。私たちも被災者の皆さんに少しでも笑顔になっていただこうと、避難所を走り回りました。確かに喜んでいただいた。でも私たちの後に有名なアイドルグループの皆さんがやってくると、もっと笑顔が広がるんです(笑)」

 やはり自分たちも中央で活動し、もっと知名度を上げなくてはと思い、東京に拠点を移した。同時に、福島の震災復興に関わったのを機に、ふるさとも大事にしなければと、富山で積極的に活動するようにもなっていった。例えばKNB(北日本放送)のニュース情報番組「ワンエフ」のキャスター就任だ。

 3年間出演した後に、より地域のために働きたくて、市議選に立候補した。

「私の公約の第一は、地元の皆さんを笑顔にすること。だから漫才も辞めません。漫才は今、その場にいる方々を笑顔にする仕事。政治は皆さんの未来を笑顔にする仕事」

「笑顔づくり」のためには、地元をもっと活性化させる政策を推し進めなくてはならない。となれば、政策を実現する力を持った自民党に加わるのがいちばんいい。そうして手続きを踏んだ上で自民党の推薦を受けたものの、「お笑い芸人が政治家になるなんて」といった意識が強い富山、高岡で自分の存在を認知してもらうのは、簡単ではなかった。

「でも芸人が政治家にとても向いてることが、よくわかってきました。芸人、特に漫才はしゃべるのももちろんですが、相手の話をよく聞かなきゃ、ボケもツッコミもできません。政治家は人の話をよく聞く仕事で、その点が同じなんです。しかも芸人をやってると、目を見ただけで、しゃべっている相手がウソをついているかどうかわかってくる。マジシャンの方なんて、わざと手品のタネを隠す時とか、ウソの目をします。政治においては、ウソを見抜けるかどうかが、とても大事なんです」

 結果的に市議選でトップ当選し、その勢いのまま、翌々年には県議になってしまった。なぜ市議から県議になったのか。

「水道にたとえれば、蛇口から水を出すのは市町村なんですが、その元栓を管理しているのが県なんです。大きな事業をしようとすると、どうしても県が手がけなくてはならない。だったら県で仕事をしてみようか、となったんです」

 一例を挙げよう。富山も人口減少が問題なのだが、その解決策として「二地域居住」を推し進める動きが広がっている。1カ月は東京、1カ月は富山、あるいは平日は東京で週末は富山、という形で、都会在住の人たちに富山に住んでもらおうというものだ。だが、その拠点づくりをするのにも、予算の少ない市町村だけではなかなかうまくいかない。結婚新生活支援事業で、新婚夫婦に引っ越し費用を援助するとしても、やはり市町村では財政負担が大きく、県が音頭をとらざるをえない。

「地元に活気を取り戻すには、市町村と県とが一緒になって取り組んでいくしかないわけですよ」

 地元を笑顔にする「笑顔づくり」は、ずっと続けていく覚悟だ。

 一方で「母心」としてステージに立つことを辞める気はない。こちらの「笑顔づくり」も大好きなのだ。

「相方(関あつし)は今、漫才以外では絵本作家として活動してます。冗談半分なんですが、彼に『お前も選挙に出て、議員になればいいじゃないか』って言ってるんです。それも自民党じゃなく別の党から出れば、漫才やるのでも『党VS党』の対決になって、面白いんじゃないかって」

 実現の可能性は低いだろうが、ちょっと見てみたい気はする。

(山中伊知郎/コラムニスト)

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