2025年のゴールデンウィークは最大で11連休。円安や物価高が続くなか、久しぶりの大型連休を活用して、海外旅行へ出かける人が増えた。
旅行予約サイトのエクスペディアが発表した「2025年ゴールデンウィーク海外旅行先ランキング」によれば、1位はソウル、2位は台北、3位はホノルル、4位はバンコク、5位は新北(台湾)と、アジア圏の都市が上位を占めた。物価の安さやアクセスの良さが、選ばれる要因となっているようだ。
しかしその一方で、
「いや、今年のゴールデンウィークは、あまり期待できない」
とボヤくのは、旅行先ランキングで4位に入ったタイ・バンコクの日本人向けカラオケ店の店主だ。
タイには「日本式カラオケ」と呼ばれるナイトスポットが多数存在し、日本語が話せるママや女性スタッフが接客するスタイルが、日本人旅行者や駐在員に親しまれてきた。中でもバンコクの日本人街タニヤは、その代表的なエリアとして知られている。
現地で営業するカラオケ店のママが語る。
「コロナ禍以降、航空券の価格が上がり、会社からの支給がなくなったことで、帰国する駐在員が減りました。代わりに日本からの旅行者が増えてはいたのですが、最近はその数も伸び悩んでいますね」
駐在員の節約志向に加え、観光客にはナイトスポットを避ける傾向がみられるという。
同様の声は、バンコクから車で約1時間半の場所にある、シラチャからも聞こえる。日系企業や工場が多く、日本人駐在員の生活拠点として知られる地域だが、ここでもかつての賑わいは薄れつつある。
「コロナ禍で約7000人が日本に帰国しました。今は週末になると地元のタイ人や、バンコクからの旅行者で飲食店は賑わっていますが、日本人駐在員の姿は明らかに見かけなくなりましたね」(現地飲食店関係者)
旅行先としてアジア諸国の人気は高まる一方で、現地で日本人の顧客を支えてきたビジネスには逆風が吹いている。観光需要の回復には単に渡航者数だけでなく、その消費行動の変化が必要なのである。