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記事全文を読む→日本で圧倒的な試合!タイの「性同一性障害キックボクサー」が流した「涙」の意味
パリンヤー・ジャルーンポンという、タイのキックボクサーを覚えているだろうか。彼は非常に強いだけでなく、今で言うトランスジェンダーであるという大きな話題性があった。
筆者は1998年、横浜アリーナで行われた試合を取材した。当時の彼はまだ16歳か17歳という若さだったが、日本のトップ選手を相手に、圧倒的な強さを見せつけた。
試合後、勝利したことで喜びを爆発させるとともに「将来、私は女性になりたい」と発言し、報道陣を驚かせた。
その後、女性ホルモンを投与し、体つきが変化した状態で来日して、試合を行った。胸は膨らみ、顔立ちは女性っぽくなっていた。1年前には圧倒的な強さを見せたパリンヤーだったが、この試合では日本選手に一方的に攻められ、完敗した。
「こんな負け方をするのは悔しい」
試合後にそう言うと、少女のようにボロボロ涙をこぼした。望んでいた女性の体に近づいた代償として、男性的な力強さが落ちていたのは明らかだった。彼はここでも性転換手術に言及し、翌年、本当に「女性」になって現役を引退した。
パリンヤーは「性同一性障害」だった。後日、あるメディアの取材に対し、そうした点ばかりがフォーカスされ、色物扱いされたことに非常に傷ついていたことを明かしている。筆者も当時はそういう扱いをしたひとりであり、今となっては申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
ただ、女性になったパリンヤーは数年後に復帰し、タイの男子選手と対戦して勝利した、というニュースが流れて驚愕した。試合は見ておらず、相手選手がどの程度のレベルだったのかはわからない。「女性」になって一時的に力が落ちたものの、徐々にかつての実力が戻ってきたのか。やはりパリンヤーの能力は、群を抜いていたということだろう。
現在、スポーツ界では生物学的な男性が女性の競技に参加することへの賛否が議論されているが、「彼女」が現役だったらどう考えているのか、非常に興味をそそられる。
パリンヤーはモデル・女優として活躍後、ムエタイの指導者に転身したという。
(升田幸一)
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