今年のゴールデンウィーク、日本人旅行者は円安や燃油高といった逆風をものともせず、多数が海外に出かけた。旅行会社HISの出発予約データによると、最も人気が高かったのは韓国・ソウルで、2位には台湾・台北がランクイン。アジア近距離の渡航先が、改めて脚光を浴びている。
とりわけ台湾は「リピーターの国」。事実、日本では数年ごとに「台湾旅行ブーム」が巻き起こる。その理由は何か。今年も台湾を訪れたという30代の女性が語る。
「今回で3回目ですが、毎回違う楽しみ方ができるんです。初回は台北など、2回目はカフェ巡り、今回は台南まで足を延ばしました。どこに行っても人が親切で、ご飯がおいしくて、治安がいい。カフェでのんびりする時間すら、旅の楽しみになるんです。観光というより『暮らすような旅』ができるのが台湾の魅力ですね」
この女性が比較対象として挙げたのは、かつて訪れたタイ・バンコクの印象だ。
「観光地は多いけど、寺院とかナイトマーケットとか、一度でメインどころは回れてしまう感じ。蒸し暑さと渋滞で移動に時間がかかって、体力的にきつかったです。刺激はあっても、心が休まる感じはなかったですね」
同様に20代の女性も、台湾の居心地の良さに魅了されたと語る。
「日本統治時代の影響で、日本語が通じる場所が意外と多いんですよ。タクシーの運転手さんが日本語を話したり、親日的な雰囲気は安心できます。バンコクは英語すら通じにくく、トイレや衛生面も気になってしまって…。夜も少し怖いと感じる場所があって、帰国後は正直、ぐったりでした」
もちろんバンコクにも、ナイトマーケットや寺院巡りなどの魅力はある。とりわけ男性旅行者にとっては、ナイトライフの華やかさが惹かれる要素かもしれない。ただ、近年は物価の上昇や観光客向けの価格設定が進み、かつての「コスパ最強の街」という印象は薄れつつある。
旅先に何を求めるかは人それぞれだが、距離の近さ、言葉の壁の低さ、グルメ、街ごとの個性といった理由が、台湾を「また帰りたくなる海外」にしているのかもしれない。