物価の安さやナイトライフの充実ぶりから、日本人観光客や移住者にとって人気の高い国に挙げられるタイ。実はその裏で、現地で活動する日本人インフルエンサーやYouTuberによる「転売ビジネス」が問題になっていた。タイ旅行経験のある日本人男性(50代)が証言する。
「タイの情報を発信しているYouTuberに、ローイクラトン(タイの灯篭流し祭り)のイベントチケットをお願いしようとしたら、5万円だと言われました。特別な席なのかと思いましたが、他の日本人に相談したところ、ツアーサイトなどでは2万円ほどで販売されていることがわかり、明らかに上乗せされていたんです」
この男性が指摘する「インフルエンサー転売」とは、現地に詳しくない観光客や短期滞在者をターゲットに、相場より大幅に高い価格でチケットや現地ツアー、レストラン予約などを「仲介」する行為。「手数料」として、正規料金の2倍から3倍を請求するケースもあるという。
「観光客の立場からすると『現地事情に詳しい日本人』に頼るのは自然なこと。ですがそれを悪用して、自分のフォロワーや視聴者に不当に高額な商品やサービスを売りつけるのは、明らかにモラル違反。中には『特別枠』や『現地コネ価格』と称して、高額請求を正当化しているケースも見受けられます」(バンコク在住日本人)
ローイクラトンは毎年11月の満月の夜に開催される、タイ全土の伝統的なお祭り。特にチェンマイなど北部の都市では、幻想的なコムローイ(熱気球灯篭)が夜空を舞う光景が、観光の目玉として知られている。超人気イベントだけにチケットはプレミア化する傾向があるものの、正規ルートで購入すれば相場で入手できる。
とはいえ、SNSなどには、こんな声が溢れている。
「タイに詳しいフリをして荒稼ぎ」
「現地情報提供を装った、ビジネス目的の発信者が増えている」
もちろん、全てのタイ在住インフルエンサーが悪質なわけではないが、観光客として「情報の見極め」がより重要な時代になっているのは間違いない。SNSの「親切そうな声」には、くれぐれもご注意を。