6月も半ばになり、メジャー各球団間の移籍話が持ち上がり始めている。その中でレッドソックス・吉田正尚は、塩漬けになる可能性が日増しに高くなっているという。
昨年10月に右肩を手術した影響で、開幕から負傷者リスト(IL)入りしていたが、5月21日に18メートルの距離での送球練習を再開。だが、翌22日には60日間のILに移行し、まさに復帰のメドが立たない状況にある。最悪のケースとして、このままメジャーでの出場機会がないまま、シーズンを終える可能性すら出てきた。
「まさに八方塞がりかもしれない」
と現状を語るのは、メジャーリーグを取材するジャーナリストだ。チームは2月にアレックス・ブレグマン内野手を獲得したため、現在はラファエル・ディバースが、吉田の定位置とされたDHに座る。そのため、吉田は復帰しても外野での出場が求められるが、外野手としての首脳陣の評価はそれほど高くない。前出のジャーナリストが言う。
「首脳陣としては現段階で、吉田に外野の一角を任せるプランは避けたいのが本音。なぜなら昨シーズン、吉田が外野手として出場したのはわずか1試合。打つだけの選手を置いておく余裕は、ア・リーグ5位に低迷する今のレッドソックスにはないのです」
ポストシーズン出場圏内である3位以内も日々、遠のくばかりのレッドソックス。来季以降のチーム再建を視野に入れ、吉田を放出して若手有望株を獲得したい意向はあろうが、それには大きなネックがある。
「吉田は2027年まで年俸1860万ドル(約27億円)を受け取る契約を結んでいる。 その全てを肩代わりしてくれるチームなどないはずで、トレードしてもレッドソックスが大半を負担しなくてはいけません。DFA(事実上の戦力外通告)もない話ではないが、さすがにそんな大金をドブに捨てるようなことはしないでしょう。現状はお手上げの状況といっていい」(メジャー関係者)
1年目は打率2割8分9厘、15本塁打、72打点。2年目の昨シーンも打率2割8分、10本塁打、56打点とそれなりの成績を残し、地元ファンからは「マッチョマン」の愛称で親しまれている。とはいえ、現在の立場は微妙だ。
7月31日のトレード期限は刻一刻と迫っている。
(阿部勝彦)