「吸血鬼には気を付けろ!」
レッドソックス・吉田正尚が10日間から60日間の負傷者リスト(IL)入りへと移行したことで、改めて日本球界ではそんな声が高まっている。今回の処置は、レッドソックスがエンゼルスから左投げ左打ちのライアン・ノダをトレードで獲得したことに伴い、メジャー出場が可能なロースター40人を空けるというものだ。
吉田は昨年10月に右肩関節唇の手術を受け、開幕をILリスト入りで迎えた。既にキャッチボールを再開し、今後はマイナーでのリハビリ出場を経てメジャー復帰を目指すことになるが、現段階で復帰時期は決まっていない。そんな吉田に対し、ある球界関係者は、
「吉田は吸血鬼に全てを吸い取られてしまった、と思いたくなる」
と、冗談とも本音ともとれないことを言うのだった。
吸血鬼=辣腕代理人スコット・ボラス氏。最近のボラス氏の凋落ぶりは、アメリカ国内で話題になっている。メジャーリーグを取材するスポーツライターは、現状を次のように明かすのだ。
「とにかくボラス氏と契約を結んでいる選手はひどい。15年7億6500万ドルという史上最高額でメッツ入りしたファン・ソトは開幕から『ただいるだけ』と地元メディアに酷評されているし、エンゼルスのアンソニー・レンドンは入団以降、まともに働いていない。今季、ドジャース入りしたサイ・ヤング賞投手のブレイク・スネルはすぐに故障して、復帰のメドは立っていない。ジャイアンツからドジャースに入団したマイケル・コンフォートも、完全にお荷物になっている。ヤンキースのエース、ゲリット・コールはトミー・ジョン手術を受けて、今季絶望となりました。彼らの総年俸を合わせると、軽く2000億円はいく。代理人の手数料は5%程度で、ボラス氏の懐には100億円以上が転がり込む計算になる。まさに、やらずボッタクリですよ」
ボラス氏がエージェントとなっている日本人選手も、軒並み不調だ。吉田は前述の通りだが、前田健太はタイガースからDFA(事実上の戦力外通告)となり、マイナー契約でカブス入りしたが、3Aでも初戦から打ち込まれた。
マリナースとマイナー契約を結んでいる藤浪晋太郎も相変わらずの制球難で、苦戦を強いられている。エンゼルに移籍した菊池雄星は開幕から好投しているが勝ち星には恵まれず、未勝利のままだ。ここまでいくと、
「西武からメジャー移籍を目指す平良海馬の代理人はボラス氏。メジャーに行くことになれば、高条件を勝ち取ってくれるかもしれないが、老婆心ながら、ボラス氏に運気を吸い取られ、抜け殻になって海を渡ることがないよう…」(スポーツ紙デスク)
もはや怪談だ。
(阿部勝彦)