毎年の確定申告は節約のチャンス! 面倒だと思うなかれ、「医療費控除」の申告をすれば、税金の還付を受けられるケースもあるのだが、その申告方法にもテクニックが存在する。
「母がよく病院にお世話になる人だったので、毎年必ず『医療費控除』の申告をしていました」
そう話すのは節約アドバイザー・和田由貴氏。医療費の支払いが1年間で10万円を超える場合は控除の対象となり、確定申告時に医療費控除の明細書を添付すれば税金の還付が受けられる。
この場合の「医療費」とは、病院での診療費や治療費はもちろん、医師の処方箋をもとに購入した医薬品、治療に直接必要なコルセットなどの医療器具費、通院のための交通費、入院時の部屋代のほか、がん治療や歯科診療などで保険適用外の自由診療、レーシック手術なども対象となる。
一方、健康増進が目的のサプリメントや健康診断、インフルエンザの予防接種など、控除の対象外となる費用も数多くあるのだが、「おむつ代」については条件次第で対象となる。
「半年以上寝たきりなど介護が必要な方に対して、医師から『おむつを使ってください』という“指導”があれば、医療費として申告することができます。寝たきりの方を病院に連れて行く際の介護タクシーも対象になりますが『雨が降っているからタクシーで行こう』という場合は対象外です」(前出・和田氏)
さらに、医師からの指導があれば、スポーツジムの費用も対象になるという。和田氏が続ける。
「メタボ解消のため『ジムで運動しましょう』という場合ですね。もちろん、趣味で体を鍛えるために行っているものについては、対象外です」
このような費用については、医師から「◯◯使用証明書」を発行してもらう必要がある。控除対象になるかどうか不明な場合は、医師に相談してみよう。
また、読者の中には「俺は健康だから医療費で10万円も使ってないよ」と、ハナから申告を諦めている人もいるかもしれないが、
「それはもったいないですね。医療控除は個人ではなく、両親や妻や子供といった扶養家族分も合わせた金額が10万円を超過していれば控除の対象になります。たとえ両親と同居していなくても、扶養家族として申告をしている場合は、その両親にかかった医療費も対象です。なので、個人ではなく、家族の1人に集約して申告すれば、還付を受けられる可能性も十分ありますよ」(前出・和田氏)
1年間で10万円には満たず「医療費控除はしない」という人には、「セルフメディケーション税制」があることは覚えておきたい。
「17年1月からスタートした制度で、WHO(世界保健機関)の定義によると、自分自身の健康に責任を持ち、軽度な体の不調は自分で手当てすること。つまり、処方箋がなくても購入できる一般医薬品の購入が控除対象になります」(医療関係者)
対象商品は「コンタック」「コルゲン」「バファリン」「パブロン」「ルル」など、膨大な数に上る。
「本人、または扶養家族がドラッグストアなどで購入した医薬品が、1年間で1万2000円を超えると控除を受けることができます。上限は8万8000円。対象となる薬のパッケージに〈セルフメディケーション 税 控除対象〉というマークがついているので、わかりやすいと思いますよ」(前出・和田氏)
ただし、控除を受けるためには条件がある。申告対象となる1年間で①保険者が実施する健康診査②市区町村が行う健康診査③インフルエンザの予防接種④勤務先で実施する定期健康診断⑤特定健康診査(メタボ検診)⑥市区町村が実施するがん検診のいずれかを受けていることだ。
常に体に気を遣いつつ、“自力で治療”するタイプの人にとっては、オススメの制度と言えるだろう。