コメの価格高騰に、どうにも歯止めがかからない。農林水産省が4月28日に公表した5キロ当たりの平均小売価格は、16週連続で最高値を更新。一部のスーパーでは、5キロ5000円超(税込)もの値段がついていた。
備蓄米の放出が開始されたのに、なぜ価格は一向に下がらないのか。日本有数のコメ産地に本拠を置くローカルメディアの報道記者が言うには、
「新規に市場へ参入した流通業者がコメを買い漁り、高値売り抜けを狙って売り渋りをしているのは事実です。加えて、最近はコメの買い占めと売り渋りに、一部の生産者、つまりコメ農家が手を貸しているのではないか、という疑惑も浮上しています」
この報道記者は実際に、とある生産者の倉庫に大量のブランド米が保管されているのを目撃したとして、次のように明かすのだった。
「この光景を目にした瞬間、『取引のある買い占め業者に代わってコメを秘匿しているのだな』と感じました。さらに言えば、まだ作付けも始まっていない段階で、買い占め業者と来年の売買契約を結ぶ生産者が少なくないと聞いています」
だが、これは原因の一端でしかない。最も本質的な問題点は、インバウンド需要の急増などによって、コメの供給が需要に全く追い付かなくなったこと。わかりやすく言えば、コメの絶対量が圧倒的に不足してしまったことにあるのだ。
言うまでもなく、その責任は減反政策を推し進めてきた農水省にある。しかも政府はこの期に及んでもなお、減反を続けようとしている。報道記者が続ける。
「状況はまさに絶望的です。仮に政府が来年からコメの増産に舵を切ったとしても、休耕田で新たな作付けを開始するためには、少なくとも3年間にわたる土壌整備が必要になります。4年後の春に作付けを始めても、新米が流通するのは4年後の秋。つまり、極めて可能性が低いながら、最も楽観的なシナリオで考えても、コメの異常な価格高騰は今年を含めて、最低でも向こう5年間は続くことになるわけです」
農水省と政府は庶民にどうオトシマエをつけるつもりなのか。
(石森巌)