「令和の米騒動」への対応が悪く、現状では参院選にかなりの悪影響が予想される中、石破政権はアメリカから大量のコメ輸入を検討している。その輸入米を備蓄米として活用し、現状の備蓄米を一気に大量放出する、というものだ。「トランプ米」を一気に政権浮揚につなげる考えである。
備蓄米の入札は3回行われたが、JA全農が9割以上を落札。31万トンものコメが政府から放出されても、全農が従来の取引先にしか流通させていないため、現状では備蓄米がほとんど消費者に渡っていない。
そのため、全マスコミが政府の対応を批判。このまま批判がどんどん高まれば、有権者からはかなり痛い目にあうことになる。
そこで、備蓄米放出の仕組みを変えるという。現状、備蓄米入札の際はおよそ1年後に、買い取った同量を政府に売り戻さなければならない。そのため、農家からコメを集める力がある全農が、入札を独占する。反石破政権を鮮明にするジャーナリストの桜井よし子氏などは動画サイトで、この買い取り制度を「全農と石破首相との闇」と批判している。
この仕組み変更は、最終調整に入った。売り戻しをやめ、入札業者を増やすのだ。備蓄米が減った分は「トランプ米」でカバーする。そして全農独占状態を崩す。消費者は古米とはいえ国産米を食べることができ、「トランプ米は備蓄」という建前なら、自民党支持のJA関係者をギリギリ説得できる。政府が備蓄米として購入するのだから当然、関税は下げる。
いわゆる「トランプ関税」をめぐっては、赤沢亮正経済再生相がゴールデンウイーク中に渡米し、交渉している。「関税を下げ、アメリカ産のコメを買いたい」というのは相当な売り文句だが、あとは石破首相が政治判断をするだけだ。
(健田ミナミ)