中央競馬界ではデビュー3年目の小林美駒が先週3勝を挙げて、女性騎手のトップに躍り出た。その中には10番人気馬ティティナで逃げ切り、200万馬券を演出したものもある。4月12日に11番人気で逃げ切ったファイントパーズも忘れられない。穴党ならずとも、常にマークが必要だろう。
ここまで8勝だが、そのうち6勝は逃げ切った。残りの2勝も全て、3番手以内でのものだ。これでわかるように、積極的な競馬をして減量のアドバンテージを生かしているのが特徴である。ティティナで勝った後に「減量もあったのか、ポンと出てくれました」とコメントしているように、スタートには自信を持っているようだ。
彼女は昨年6月23日の函館競馬で落馬して、左肩脱臼骨折。4カ月の戦線離脱を余儀なくされた。リハビリを経てターフに戻ってからも体に力が入らず、物を持つのも不便だったという。結局、復帰後は1勝しただけで、昨年は年間19勝で終わった。
それだけに、今年に懸ける思いは強い。現在も左肩は完璧な状態ではないというが、騎乗ぶりからして、痛めた左肩を気にはしていないようだ。筋トレを毎週欠かさずに行っているというから、その成果が出ているのだろう。
さらに今年は女性騎手が2人辞めたことで、その分、騎乗機会が増えているのも大きなメリットだ。今後、勝ち星を積み重ねていくのは間違いないだろう。
今週は新潟で土曜5頭、日曜3頭に騎乗する。中でも日曜6R・4歳以上1勝クラス(ダート・1800メートル)のゴヴェルナーレリコには、勝負気配が漂う。初ダートの前走は14頭立ての4着だったが、後方から差を詰めて、まずまずの走りを見せた。今回はそれより斤量が4キロも減って52キロ。さらに前走で掲示板に入ったのは、他に2頭いるだけというメンツ。持てる力を発揮できれば、上位争い必至だ。狙うしかない。
5月4日の天皇賞・春についても触れておこう。
「優勝請負人」ダミアン・レーンが騎乗するヘデントールに期待している。成績を見ればわかるように、3000メートル以上の長丁場でこそ、真価を発揮できる馬。心肺機能が優れていて、長くいい脚を使えるのが取り柄だ。追わせるタイプだけに、豪腕のレーンにはピッタリだろう。
中間、ウッドで長目をじっくり乗り込んできて、仕上がりは万全だ。枠も内めの6番と申し分なし。不利さえなければ、勝ち負けになるとみた。
では、グッドラック!
(兜志郎/競馬ライター)