本サイトが6月7日に公開した記事では〈【安田記念の大ヒント】人気2頭に「致命的な死角」が!大波乱の主役はココを狙ってきた「生粋のマイラー」〉と題し、渾身の激アツ馬にジャンタルマンタル(牡4)を指名した。
結果はソウルラッシュ(牡7)とシックスペンス(牡4)の2頭が3着と12着に敗退する中、ジャンタルマンタルが見事に快勝。2着には初ブリンカーのマイラー、ガイアフォース(牡6)が飛び込み、馬連9560円の波乱となった。
今週は上半期GⅠシリーズの掉尾を飾る宝塚記念(6月15日、阪神・芝内回り2200メートル)だが、今年の「春のグランプリレース」をキッチリと読み解くためのキーポイントは「3点」に集約される。
第1のカギは「ファン投票で選ばれた有力各馬の取捨」である。この点は暮れのグランプリGⅠ・有馬記念(中山・芝2500メートル)にも言えることだが、ファン投票組の中には「仕方なく出走に踏み切った有力馬」が少なからず存在するのだ。距離やコース、ローテーションなどの点で適性を欠いているにもかかわらず、ファンやJRAの期待に応えるべく参戦に応じた「客寄せパンダ組」である。
多くの場合、これらの客寄せパンダ組は凡走に終わる。この際、「危険な人気馬」の馬名を挙げることは控えるが、今回の宝塚記念へと至る経緯を各馬の馬柱で注意深く分析すれば、凡走の危険性が高い数頭が浮かび上がってくるはずである。
そこで問題となるのが、第2のカギである「前哨戦を叩いた激アツ馬」の存在だ。今年は宝塚記念の施行スケジュールが一気に前倒しされたため、GⅠ・大阪杯(阪神・芝2000メートル)の位置付けは「絶好の前哨戦」へと変貌した。同レースでの上位入線馬はもとより、「叩き」に徹した敗退組にも大いにチャンスがあるほか、別路線の前哨戦を叩いて臨む虎視眈々組も要注意である。
その上で、第3の重要なカギとなるのが「道悪適性の見極め」だ。阪神競馬場がある近畿地方は6月9日に梅雨入りとなり、宝塚記念当日を含めて、梅雨前線による断続的な降雨が予想されている。ゆえに当日の馬場は「稍重」「重」「不良」の可能性が高く、「道悪適性」が究極的かつ最終的なポイントとなるだろう。
道悪適性を見極める最大のメルクマールは当然ながら、過去の道悪実績にある。良馬場しか経験したことのない出走馬にも、血統や走法、爪の形などから「適性あり」と判断されるケースはあるが、多くの場合、「走ってみなければわからない」というのが実情だ。
以上の3条件を踏まえて順当な優勝馬、場合によっては大波乱を演出する優勝馬が出ると、筆者は考えている。
(日高次郎/競馬アナリスト)