サマー2000シリーズの開幕戦となるGⅢ・函館記念(6月29日、函館・芝2000メートル)。今年は重賞勝ち馬1頭、リステッド勝ち馬3頭、3勝クラスを勝ち上がったオープン未勝利馬10頭の、計14頭が駒を進めてきた。
例年同様、大混戦ローカルハンデ重賞の様相を呈しているが、難解なレースを読み解くカギは「実績」と「ハンデ」にある。中でも馬柱にある「字面の実績」だけでは推し量れない「秘めたる能力」の見極めは重要だ。
アルナシーム(牡6)はGⅢ・中京記念(小倉・芝1800メートル)とGⅢ・中山金杯(中山・芝2000メートル)の勝ち馬だが、近2走(GⅡ・中山記念⇒GⅠ・大阪杯)の成績が12着(1.1秒差)⇒15着(2.1秒差)と負けすぎている。トップハンデ59キロの負担重量も厳しく、メンバー唯一の重賞勝ち馬ではあるが、過信は禁物だ。
そこで浮上してくるのが、比較的ハンデに恵まれたリステッド勝ち馬の3頭である。最も食指が動くのは、函館出身の丹内祐次が騎乗するマイネルモーント(牡5)で、7着(1.3秒差)と大敗した重馬場の前走(GⅡ・金鯱賞)は度外視していい。以下、ボーンディスウェイ(牡6)とトップナイフ(牡5)もそれほど差はなく、上位入線が期待できよう。
3勝クラスを勝ち上がったオープン未勝利馬にも、逆転のチャンスは大いにあるだろう。
中でもランスオブクイーン(牝4)は、昨年のGⅠ・オークス(東京・芝2400メートル)でチェルヴィニアの5着(0.4秒差)と好走した素質馬であり、今回は54キロの軽ハンデを利しての先行押し切りがあっても驚けない。
ただし、マコトヴェリーキー(牡5)やヴェローチェエラ(牡4)、ハヤテノフクノスケ(牡4)やディマイザキッド(牡4)のほか、昨年の函館記念での2着があるグランディア(騙6)など、伏兵候補はまさに多士済々であり、馬券作戦を組み立てる際には、一定の見切りが必要になってくる。
ちなみに函館競馬場の芝コースは目下、例年にない高速馬場となっている。レース当日の天候と馬場は「晴れ、良馬場」の見通しとなっており、スピードの持続力を欠く出走馬には厳しい馬場と言えるかもしれない。
(日高次郎/競馬アナリスト)