例年より宝塚記念が2週間繰り上げられ、一気に春のGⅠ戦線が行われる番組の変更により、今年の夏競馬は、ラジオNIKKEI賞と函館記念が同日に施行されることになった。
というわけで6月29日は2つのハンデ戦がメイン。ともに難解ではあるが、馬券的には実におもしろい。
まずは、ラジオNIKKEI賞から見ていこう。
毎度、当欄で指摘していることだが、この時期の3歳馬同士の重賞がハンデ戦で行われることに、やや首を傾げたくなる。まだ成長途上の若駒で、これまでの実績をもとにハンデをつけるのは、いかがなものかと思うのだ。
クラシックを意識して無理使いをしたような馬は、さらに良化することは期待薄だが、デビューが遅れ、ここにきて急成長してきた馬は、大きく飛躍しても不思議ではない。なので、実績上位馬が足をすくわれることだって十分ある。
02年に馬単が導入されて以降の過去23年間、その馬単での万馬券は9回(馬連6回)。この間、1番人気馬は4勝(2着3回)。2番人気馬は6勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は2回(ともに2番人気馬の勝利)。
最近は牝馬の出走も少なくないが、牡馬が圧倒しており、54キロ〜55キロのハンデを背負った馬が最も連に絡んでいる。このあたりはやはり、それなりの実績がある馬に目をつけるべきで、なかなか2勝目を挙げられないような馬は、あまり重視するべきではないのかもしれない。
3歳馬唯一のハンデ重賞だけに、過去のデータを見ても、そう簡単ではないことがわかるが、もろもろ考慮したうえで最も期待を寄せてみたいのは、センツブラッドだ。
前走の白百合Sはゴール前、4頭が横並びの大接戦となってアタマ差の2着。勝ったにも等しい好内容だった。それだけに陣営の悔しがりようはハンパではなかったが、それを思うとここは必勝態勢。この中間は前走の反動もなく順調そのもので、素軽くて実によかった。ここを目標にほぼ万全と言える調整過程を踏んでいる。
厩舎スタッフも「とてもいい雰囲気。上昇気配でたくましさも増してきた」と胸を張るほどだ。
デビュー3戦目で未勝利(京都芝2000メートル)を勝ち上がったあと、3カ月の間を置いて臨んだGⅢ京成杯(8着)以外、2着以下がない堅実派にして、勝負強さを兼備している馬。
近親、一族にノーザンスパー(BCターフ、オークツリー招待S=現ジョンヘンリーターフCSS)など活躍馬が多くいる良血で、ハンデは恐らく55キロ〜56キロ。走りっぷりから道悪も不安はなく、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
一方の函館記念は、過去23年間で約半数の12回が馬単で万馬券が飛び出している。ラジオNIKKEI賞よりも波乱の目が十分ある重賞と言っていいだろう。
その主役とみたいのは、ディマイザキッドだ。
2月のアメジストS(3勝クラス、東京芝2000メートル)を勝ち、昇級初戦となった前走の新潟大賞典は8着に敗れたが、追い込み脚質のこの馬には流れが向かなかったまで。この中間はさらに良化気配にあり、道悪巧者でもある。
函館は初めてになるが、洋芝の馬場は合うはず。メキメキと力をつけており、好勝負になっていい。