宝塚記念(GⅠ、阪神・芝2200メートル)の鍵を握る馬は、武豊騎乗のメイショウタバルだ。他にこれといった逃げ馬がいないので、12番枠から先手を取って逃げることになるだろう。武がこの馬に騎乗するのは前走のドバイターフが初めてだったが、逃げの手に出てソウルラッシュから0秒4差の5着。直線でかわされてからも、しぶとく粘ってみせた。走る馬だと手応えを感じたのは間違いないだろう。期待大だ。
なにより強調できるのは、この馬が阪神コースを得意としていること。これまで2戦2勝で、重賞初制覇となった毎日杯は重馬場の中、6馬身差の圧勝だった。走破時計1分46秒0は優秀だ。今回は2200メートルになるが、同じ距離の神戸新聞杯を勝っているので、心配はいらないだろう。
レース当日の天気は雨&曇りとなっているが、これも歓迎だ。稍重~重は【2・0・0・1】で、4着に終わった新馬戦(重)も、後方から34秒2の末脚を使って勝ち馬から0秒4差と、見どころ十分だった。重巧者と言っていい。
血統も魅力だ。父ゴールドシップは2013年、2014年と、このレースを連勝している。さらに言うと、父の父ステイゴールドの産駒が最も勝利している平地GⅠが、このレースだ。ゴールドシップ以外にも2009年ドリームジャーニー、2010年ナカヤマフェスタ、2012年オルフェーヴルと、計5勝を挙げている。
騎乗する武は、これまで歴代最多の4勝という宝塚記念マイスター。最後に勝ったのは2006年のディープインパクトだから、そろそろ自身の記録を更新したいところだろう。
馬の方は日本に帰ってからいったん放牧に出し、ここを目標に順調に調整されてきた。最終追いはCWコース単走で馬なりのままサッと伸ばし、5F69秒8~1F11秒4をマーク。大仕事の予感を抱かせる、動きの良さだった。あとは気持ち良く逃げることができるかどうか。鞍上の手腕次第だ。
穴なら重が得意なソールオリエンス、チャックネイト、ヨーホーレイクの3頭。中でも栗東滞在で調整を進めているチャックネイトが怖い。中10週以上で【5・0・2・3】の好成績を挙げているように、鉄砲巧者。さらに2200メートルでは唯一の重賞制覇となった昨年のAJCCを含めて【3・1・2・1】だ。最終追いは坂路単走で馬なりのまま4F55秒1~1F12秒5をマーク。堀調教師は「毛ヅヤ、体の張りが良くなっている」と満足げだ。レーンとの新コンビでどんなパフォーマンスを披露するか、楽しみしかない。
では、グッドラック!
(兜志郎/競馬ライター)