朝から泉ピン子が出ていて驚いた。5月27日の「サン!シャイン」(フジテレビ系)に、コメンテーターとして出演していたからだ。
あの図々しい態度、なんでも自分の話に持っていく強引さ、思い込みによる凝り固まった意見を、あの声のトーンで話す姿を朝から見るのは正直言って、キツイ。案の定、備蓄米問題では「アタシ、小泉進次郎さんに総理大臣になってほしいのよ」などと関係のないことを勝手に話し始め、MC谷原章介にたしなめられる場面が…。
おまけにこの日は、他にも鈴木おさむ、武田鉄矢と炎上タレントだらけ。とことん嫌われることで視聴者を獲得しよう、という戦略なのか。
そのピン子、言わずと知れたことだが、歴代の朝ドラはおろか、テレビドラマ史上最高視聴率の62.9%を記録し、平均視聴率52.6%と、文字通りの「国民的ドラマ」だったNHK朝ドラ「おしん」で、ヒロインの母親を演じていた。
今思えば多くの日本国民が、あのピン子を朝から見て涙することすらあったのだから、現在とのギャップの大きさに驚く。「おしん」での演技が、脚本を手掛けた橋田壽賀子に高く評価され、その後、「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)をはじめ、多くの橋田作品に出演。「橋田ファミリー」の代表のような存在となり、橋田のことを「ママ」と呼んで親しくしていた。
が、2021年に橋田が亡くなると、その葬儀や遺骨に関するピン子の発言で、橋田文化財団との間にトラブルが生じ、その後も橋田の遺産の権利を主張したりと、ピン子の(イメージ通りとはいえ)なかなかに面倒くさい側面が報じられた。それが要因かは知らないが、ここ最近はあまりテレビで見かけなくなっていた。
私のようなピン子苦手人間からすれば、それは歓迎すべき状況なのだが、このところどうも、風向きが変わってきたようで…。
5月22日の「週刊さんまとマツコ特大号」(TBS系)でも「熱海在住の泉ピン子に見つからないよう、ロケをしなければいけない」という「熱海で泉ピン子から逃走中!」なる企画があった。
しかしフタを開けてみれば、前半は熱海のグルメやプレイスポットをさんま、マツコ・デラックス、ぼる塾、彦摩呂、内山信二らがロケするパートと、ピン子と生贄に捧げられた平成ノブシコブシの吉村が自宅で待つ様子を交互に流し、後半はいつまでもやって来ない一行にしびれを切らしたピン子がさんまたちを探しに行く…というテイ。結局はピン子御殿を訪問するものだった。
普段は日曜日の13時から放送している番組が木曜のゴールデンタイムで、しかも2時間SPだというのにピン子づくしで、もううんざり。「TBSなんて、ピン子さんでできているようなもの」とおべんちゃらを言うマツコにもイラッときた。
そもそも橋田壽賀子追悼ドラマにはお呼びがかからず、てっきりTBSには出禁になったかと思っていたが、はたしてマツコが言うように、いまだにピン子に忖度するスタッフが残っているのだろうか。
このところ露出が多くなったピン子の出演番組を見て、「一周回って面白い」とか言い出すやつが現れたりはしないかと、戦々恐々。とはいえ、ピン子の台頭を最も恐れているのは、えなりかずきだろうけど。
(堀江南/テレビソムリエ)