大阪・関西万博の会場内に新たな喫煙所が2カ所、設置された。
万博は「健康」をテーマのひとつとして掲げており、開幕当初から会場内は全面禁煙。喫煙者は東ゲート外に設けられた2カ所の喫煙所を利用する必要があった。
これに来場者や関係者からは「わざわざ東ゲートまで行くのでは不便すぎる」といった不満が噴出。さらに海外パビリオン裏口付近に吸い殻が散乱するなど、ルールが形骸化している実態が浮き彫りになっていた。
極め付きはパビリオンのスタッフが会場内で喫煙していた事実を、博覧会協会幹部が初めて認めたことだ。「健康万博」を掲げながら、内部の人間すらルールを守れない実態に批判が集中し、急きょ喫煙所の追加設置が決まったのである。大阪市民からは厳しい声が溢れる。
「大阪での開催で全面禁煙は無理がある。私を含め、喫煙者は万博に興味はあったが、全面禁煙と聞いて、行く気になれなかった。今回の判断は正しいと思います」
東ゲート喫煙所の実態については、こんな指摘があった。
「もともとあった東ゲートの喫煙所は、すごい人だらけ。皆、全面禁煙の会場内に戻りたくなかったのか、たまり場のようになっていて、微妙な雰囲気でした」
別の大阪市民も苦言を呈する。
「スタッフが吸ってたって聞いて、呆れたね。今年1月から大阪市内全域で路上喫煙が禁止されてるけど、少し裏に入れば、吸い殻がよく落ちている。喫煙者を排除するだけじゃ無理。ちゃんと喫煙所を増やして、現実に合わせた対策をしないとダメでしょう」
「理想」と「現実」のギャップが浮き彫りになった今回の騒動。全面禁煙という建前だけが先行し、実態が伴わなければルールは破られる。国際イベントだからこそ、現実に即した柔軟な対応と、利用しやすい喫煙環境の整備が求められている。