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記事全文を読む→【王座戦の転換点】藤井聡太を翻弄して崖っぷちに追い込んだ伊藤匠の「独饅頭返し」
将棋の第73期王座戦五番勝負が、激動に見舞われている。藤井聡太王座(七冠)が崖っぷちに追いやられる展開となっているのだ。
第3局は9月30日に名古屋マリオットアソシアホテルで行われたが、藤井は伊藤匠叡王に敗れ、対戦成績は1勝2敗に。タイトル戦で圧倒的な勝率を誇ってきた藤井の大ピンチである。
大きな議論を呼んだのは、やや不利で迎えた86手目。局面では△8六歩が有力とされていたが、藤井はあえて金取りを放置して、△8八歩と踏み込んだ。見た目には勝負手に映るが、結果的には相手の▲6四桂という王手筋を呼び込み、リスクを背負う展開に。伊藤は▲8六金と打ち、竜を捕獲。ここで主導権を完全に握り、形勢は一気に伊藤へと傾いた。
この△8八歩は「毒饅頭の一手」だった。妙手に見えても、実際には勝負を壊しかねない危うい選択肢で、毒にあたるように形勢を崩す可能性がある。伊藤はその毒饅頭を冷静に受け流すと、逆に自らも駒を差し出す大胆な応手で切り返し、「毒饅頭返し」と言うべき展開で藤井を翻弄した。
とはいえ、この場面をもって藤井の衰えと結びつけるのは短絡的だ。むしろ伊藤の周到な準備と、終盤での切れ味ある読みが王者を揺さぶったとみるべきだろう。
22歳の伊藤は昨年、藤井から叡王を奪ったばかり。今シリーズでは一歩も引かず、堂々と渡り合っている。その姿は羽生善治九段を中心に森内俊之九段、佐藤康光九段らがしのぎを削った「羽生世代」のライバル構図を思わせた。若き2人の激闘は、長らく続いた「藤井一強」の時代に変化の兆しを告げている。
次戦は10月7日、神奈川県秦野市の元湯陣屋で行われる。背水の陣の藤井が冴えを取り戻すのか、それとも伊藤が勢いそのままに二冠となるのか。盤上のドラマはいよいよ佳境を迎える。
(ケン高田)
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