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記事全文を読む→【ルヴァンカップの明暗】一発勝負の戦い方を知っていたサンフレッチェ広島「試合開始早々の激しい動き」と柏に「策なし」
経験の差が出た試合だった。
今季のルヴァンカップ決勝は、サンフレッチェ広島が柏レイソルを3-1で破り、3年ぶり2度目の優勝を飾った。
柏は徹底的にボールを持ちながら主導権を握る、攻撃的なサッカー。一方の広島は今季リーグ最少失点(35試合で26失点)と、対照的なチームの対決だった。
戦前の予想では試合開始早々から柏が主導権を握り、広島がしっかり守ってカウンターを狙うと思われていた。ところが試合開始から中盤で激しくボールを奪いにいき、柏に主導権を与えず圧力をかけたのは広島だった。前半だけでセットプレーから3点を奪い、後半に入っても柏の攻撃を1点に抑える快勝だった。
広島は柏をしっかり分析していた。一発勝負の決勝戦では、先制点が大きい。柏に試合開始から主導権を握られ、先制されて後手に回るのだけは避けたかった。だから最初から激しくボールを奪いにいき、柏のサッカーをやらせなかった。そしてセットプレーからの3点である。
1点目と3点目は右サイド、中野就斗のロングスローからである。選手が「ロングスローの練習には時間をかけてきた」というように、この試合のために準備してきた。柏のGK小島亨介の前に佐々木翔と東俊希が横に並んで立ち、自由にさせない。1点目は小島の動きが遅れ、荒木隼人のヘッドが決まった。3点目もニアで佐々木がかすらせて、ファーでジャーメイン良が決めた。小島の動きを自由にさせなければ、高さでは広島に分があった。2点目の東のフリーキックはスピード、コースとも完璧だった。
守備では柏に攻め込まれても、最後の部分で仕事をさせない。特に前半は柏にボールを回されても冷静に対応し、シュートさえ打たせない強固な守備を見せた。
一方の柏は立ち上がりからの広島の圧力に対応できず、自分たちのリズムをつかめないまま、前半を折り返す。後半に入ってメンバーを入れ替えて攻め込むが、前半の3失点が重くのしかかり、リーグ最少失点の広島から1点を返すのが精一杯だった。
冒頭で経験の差と表現したのは、広島の戦い方だ。立ち上がりから柏に主導権を握らせず、自分たちの流れにもっていった。3点を取った時間帯もよかった。前半25分の先制、38分に追加点、そしてアディショナルタイムの47分は、柏に相当なダメージを与えた。
また、佐々木、荒木 塩谷司はJリーグ屈指の3バックで、全員が代表経験者である。その前を固めるダブルボランチの川辺駿、田中聡も代表経験者。そして最後尾でゴールマウスを守るGK大迫敬介は、森保ジャパンの常連。それだけのメンバーを揃えた広島の壁は、そう簡単に崩れない。
ミヒャエル・スキッベ監督は、広島を指揮して4シーズン目。チームの円熟味を感じる。柏は今季からリカルド・ロドリゲス監督が就任、メンバーもスタイルも変わった。それでも決勝戦で相手を分析するというよりも、自分たちのサッカーをやり通すことを選んだ。広島のような策がなかったのだ。
一発勝負の戦い方を知っていた広島の方が、一枚も二枚も上手だったということだ。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。
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