あの「怪物」が本当に帰ってくるのか――。
6月1日でシーズン前半戦が終了したサッカーJ1リーグで、移籍の行方が注目されているのはFWマイケル・オルンガだ。
2018年8月に柏レイソルに加入したケニア人初のJリーガーは当時、まったく無名の存在だった。シーズン途中加入ということもあり、10試合で3ゴールをマークしたものの、それほどインパクトを残せず、柏はJ2に降格することに。
しかし約半年で日本の水に慣れたことで、翌2019年シーズンに才能が爆発。193センチ、85キロの体格を生かしたフィジカルの強さだけでなく、超人的な跳躍力で空中戦を圧倒した。ドリブルの推進力とシュート精度の高さはワールドクラスで、チームをJ2優勝に導いた。
とりわけオルンガ伝説として語り継がれているのは、最終節の京都サンガ戦だ。13-1というスコアも異例だったが、オルンガは前半だけでハットトリックを達成すると、後半も容赦なく5ゴールを奪い、京都は戦意喪失。オルンガは1試合個人最多得点の8点を記録した。
「覚醒したストライカーをJ1の選手も止められず、2020年シーズンに7試合連続ゴールを達成し、相手チームやサポーターを戦々恐々とさせました。柏の最終順位は7位でしたが、オルンガはMVPと得点王に選ばれた。欧州移籍が噂される中、約10億円の移籍金でカタールのアル・ドゥハイルに加入しました。新天地では約4年半で通算130ゴールを奪い、規格外の実力を発揮したのです」(スポーツ紙記者)
31歳になった怪物は、5月下旬に退団を発表。Jリーグに売り込みをかけている、との話が広まった。スポーツ紙記者が続ける。
「カタールやサウジアラビア、UAEの、オイルマネーで潤沢な資金を誇るクラブも動き出していますが、日本復帰が選択肢にあると聞きました。古巣の柏が最有力のようで、移籍が決まれば優勝争いをかき回す存在になることは間違いありません」
現在、首位の鹿島アントラーズに勝ち点6差で迫る柏。反則級のストライカーで巻き返しを図るのだろうか。
(風吹啓太)