時には選手と対立し、マスコミと激しくやり合い、本来であればバックアップしてくれるはずの日本サッカー協会とも対立した元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏が、初めて日本サッカー協会との対立の詳細を明らかにした。
ガンバ大阪の公式YouTubeチャンネルで、教え子の明神智和コーチと対談した中で、
「今まで話したことがないから、驚くかもしれない」
と切り出すと、
「ロシア戦の後、まだグループリーグ突破が決まっていなかったが、すぐにサッカー協会に相談して、もしもチュニジアに勝ったらホテルに家族や友人、好きな人を呼んでプールサイドでBBQをやりたい、私たちだけの打ち上げをやりたい、と伝えた。大事な試合の前に奥さんや彼女と泊まることに関しては賛否両論。実は最初、猛反対されたんだ」
はっきりとは言わなかったが、明らかに日本サッカー協会から反対されたというのである。
「『そんなことを日本ではやらない』と(言われた)。私は日本うんぬんではなくて、皆に絶対ダメと言われると、逆にモチベーションが上がる。何の反応もなかったら私は盛り下がっていたかもしれないけど、絶対できないって言われた瞬間に『じゃあ、やってやろう』と思った」
プールサイドでのBBQ大会は、大成功を収めた。明神コーチが振り返る。
「プラス面に働いた。家族や彼女を呼んで会えるというので、張り詰めている緊張感が和らぐ。一回、ゆっくりできる。一度オフになって、でも翌日からはしっかり練習をやるという。彼女を連れていくのは嫌だという選手はいなかった」
23年前、日本サッカーがまだ幼かった頃の、ちょっといい話である。
(鈴木誠)