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記事全文を読む→大阪府警マル暴刑事の「暴力捜査」は“ヤクザの家族”にまで向けられていた!山口組分裂抗争事件をめぐる国家賠償請求で明らかとなった「不都合な真実」
暴力団を取り締まる警察官はヤクザが相手なら何をしても許されるのか―。答えはノーだ。いくら粗暴なアウトローと対峙するとはいえ、警察のやりたい放題が認められるわけがない。だが、一部の捜査員の間では暴力をもってヤクザを制することがまかり通っていた。
とりわけ、大阪府警刑事部捜査4課は、その傾向が顕著だったという。社会部記者が言う。
「どこの都道府県警にも暴力団に近づき、組織の情報を取る係はあるのですが、大阪府警は『なんでヤクザに頭下げて情報をもらわなアカンのや』という考え方が支配的で、『ヤクザなんてパクって、勾留中にかわいがってやれば、釈放されても向こうから電話してきてペラペラしゃべるもんや』と明言する捜査員もいました」
ここで言う「かわいがる」はヤキを入れることで、ヤクザを取材すると、この手の大阪府警の『武勇伝』をよく耳にする。「家宅捜索で組事務所をめちゃくちゃにされるぐらいならかわいいもので、その場にいた組員は正座させられてボコボコにされた」「若い衆が大阪府警にパクられて、20日後に帰ってきたら首から下がアザだらけだった」といった具合だ。が、こうした捜査手法に待ったをかける動きがある。
昨夏、違法スカウトグループの摘発時に大阪府警捜査4課が家宅捜索を行った。その現場で捜査対象の男性が捜査員から集団暴行を受けたとして、捜査員2人が特別公務員暴行陵虐罪で逮捕・起訴された。1月26日に大阪地裁が元捜査員2人に対して有罪判決を下した。それに先立って、大阪府警は1月23日に集団暴行に関与した捜査員、管理者も含め35人の処分を発表した。この一連の事件は大きく報じられたが、同時期にもう1つの大阪府警捜査4課の違法捜査が明らかになったことは、あまり知られていない。
1月22日、名古屋地裁で国家賠償請求の裁判の判決が下された。原告は六代目山口組系幹部Aの元妻B子さん。2023年3月に、大阪府警から元夫Aが逮捕された事件への捜査協力を依頼された。B子さんは事情聴取には応じたものの、供述調書の作成は拒否すると、大阪府警捜査4課の「暴力捜査」が牙を剥いたという。裁判を取材した犯罪ジャーナリストが話す。
「裁判で明らかとなったのは、過剰とも言える捜査内容でした。執拗な事情聴取を繰り返し、その中で捜査員Xが名古屋市内にあるB子さんの居宅マンションで、他の住人がオートロックを解除した際にそのまま建物内に入り、居室のインターホンを連打。応答がないと、居室のある階で4時間半、同僚の捜査員と交代しながら居座り続けたのです」
判決では「元妻に少なからず困惑ないし恐怖を与え、私生活の平穏を侵害するものと言わざるを得ない」とし、大阪府に精神的苦痛の慰謝料など5万5000円をB子さんに支払うよう命じたのだ。
大阪府警がヤクザの元家族にまで強硬な捜査を繰り返したのには理由がある。元夫Aが逮捕された事件は、山口組の分裂抗争事件で府警にとっては「負けられない逮捕」であったのだ。
当該の事件発生は、2022年5月のことだ。当時、神戸山口組(井上邦雄組長)で副組長だった二代目宅見組・入江禎組長の大阪府豊中市の自宅に、車が突っ込んだ。実行犯は、六代目山口組(司忍組長)の三代目弘道会系の組員だった。同組員は当日中に逮捕され、3つの罪で起訴された。
「いわゆる車両特攻事件は器物損壊罪で起訴され、軽い刑で済むせいか、山口組の分裂抗争でも繰り返された。大阪府警としては、この流れを食い止めたかったのでしょう。実行犯に器物損壊よりも重い建造物損壊、住居侵入、脅迫と容疑を積み重ねて、検察が起訴したのですが、結果は2つの罪が無罪となり、求刑の懲役4年に対して、判決は懲役11カ月に留まった。府警としてはメンツをつぶされた格好に終わったのです」(前出・犯罪ジャーナリスト)
いわば、そのリベンジとして、大阪府警は「指示役」の逮捕に踏み切ったのだ。それがB子さんの元夫であるAだったのだ。
「大阪府警捜査4課としては、何としてもAを塀の中へと追い込まねばならないと躍起になっていたのでしょう。B子さんは別の男性と新生活を送っていたのに、それも無視して執拗な捜査を繰り返したのです」(前出・犯罪ジャーナリスト)
スカウトグループへの集団暴行で有罪となった大阪府警の元捜査員は「上層部のプレッシャーを感じていた」と証言している。「捜査4課はヤクザに舐められてはいけない」という矜持まで過去の遺物になりかけているのか。
(志野原旭)
大手メディアの政治記者等を経て独立したフリー2年目のライター。国内外の事件、政治の記事を主に雑誌・WEBメディアに寄稿している。
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