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記事全文を読む→三又又三の「社長、前借りいいですか?」〈そのまんま東さん〉
元気ですか〜 !(猪木風)。還暦ブレイクを本気で狙っている三又又三(58)です。
僕はこれまでプライベートで、たくさんの「大物」と一緒に長い時間を過ごしてきました。
師匠のビートたけしさん、「志村けんのバカ殿様」で共演させてもらった志村けんさん、そして松本人志さん。時期はそれぞれ違いますが、なぜか毎晩のように食事の席に呼ばれて一緒にいる。みなさん憧れの存在ですから、近くで同じ空気を吸っているだけで幸せな気分になれるんです。僕は密かに「竜宮城」と呼んでいました。
学ぶことはたくさんありました。
志村けんさんと寿司屋にいる時、思わずポロッと言っちゃったんです。
「僕、芸人になって本当によかったです。こうして志村さんとご一緒できるんですから」
すると、それまで和やかだった空気が変わって、志村さんが一言。
「今なんつった?」
「いや‥‥芸人になってよかったですって‥‥」
すると志村さんはこう説明してくれたんです。自分で自分のことを芸人と呼ぶのは恥ずかしいって。芸人っていうのは、きちんと芸を見せて、周囲から「あの人って芸人だよね」と認めてもらって、初めて芸人と言えるのであって、自分から名乗るもんじゃない。この志村さんの教えは今もはっきり覚えています。
芸人の仕事は舞台でネタを見せて、お客さんを笑わせること。たけしさんも顔を合わせるたびに「ネタ作ってるか」と声をかけてくれましたよ。
松本さんからは「売れてもないのに賞レースに出ない奴の気が知れないんだよ」と、R-1ぐらんぷり出場へ背中を押してもらい、準決勝に進出することができました。
話はそれましたが、たけしさん、志村さん、松本んと過ごした時間は僕にとってまさに「竜宮城」でした。でも、そんな僕の目を覚ましてくれたのが、そのまんま東(東国原英夫)さん。いつもたけしさんと一緒にいた頃、こう言ってくれたんです。
「なあ三又、楽しいだろ。いつも憧れのたけしさんと一緒に飯食ってさ。俺もそういう時期があったよ」
僕は内心ドキリとしました。東さんは続けます。
「だけどな、殿(たけしさん)のそばにいる間は、お前は絶対に売れない。結局は自分なんだよ」
東さんが言うと説得力があるんですよ。80年代、たけし軍団でレギュラー番組をいくつも持っていた時、「1人で勝負するから」と言って真っ先に軍団を飛び出したのが東さん。周囲の軍団メンバーにもこう言っていたそうですよ。「このままじゃダメだ。俺たちから動かないと」って。
東さんのエピソードでいちばん印象深いのは1988年に作家デビューした「ビートたけし殺人事件」。たけしさんが失踪したところから始まる推理小説で、軍団のメンバーが実名で登場するんですけど、普通の感覚だと事前にたけしさんに相談するじゃないですか。「こういう小説を書きたいんですけど」って。
でも東さんは違う。書き上げた原稿をたけしさんに見せて、「本を書きました。どうでしょうか」とお伺いを立てたんです。こうなると「ダメだ」って言えないじゃないですか。
結果的に「ビートたけし殺人事件」はベストセラーになって、その翌年にはドラマ化もされました。
これをきっかけに独り立ちした東さんは政治家に転身。07年、宮崎県知事選に出馬して東国原フィーバーを巻き起こしたのは皆さんご存じの通り。
僕の人生で「竜宮城」はかけがえのない貴重な時間でしたが、居心地がよすぎるからこそ、そこにどっぷり浸かりすぎてはいけない。東さんの言葉をことあるごとに思い出すようにしています。
三又又三(みまた・またぞう)株式会社TAP所属のお笑い芸人。「踊る! さんま御殿!!」(日テレ系)、「志村けんのバカ殿様」(フジ系)等数々のバラエティーに出演。2023年より不動産会社に勤務し、芸人との二刀流で活動。今夏より漫才協会に入会。
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