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記事全文を読む→和歌山県串本町「ロケット打ち上げ3連続失敗」でも儲かる宇宙産業の「ウハウハ集金システム」
ロケット打ち上げが、また失敗した。
宇宙事業会社スペースワン(東京都港区)が3月5日午前に、和歌山県串本町のロケット発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げられた小型ロケット「カイロス」3号機は上空で飛行中断。打ち上げから4分後の措置だった。
見学に来ていた人々の多くは落胆するが、
「成功してほしいのはもちろんだけど、打ち上げのたびに人が来るのはありがたいのも事実」
地元の商店主はそう複雑な表情で語る。単純に「落ちても儲かる」とは言い切れない。だが、打ち上げそのものが巨大な集客装置になっているのは、紛れもない現実だ。
和歌山県の試算によると、射場立地に伴う県内への経済波及効果は10年間で670億円程度と見込まれる。建設投資効果28億円、射場運営効果が510億円(年間51億円)、観光消費効果が130億円(年間13億円)という内訳だ。これは年間20回の打ち上げが実現した場合の見込みで、成功率は問われていない。
さらに見落とせないのが、ふるさと納税への波及だ。2号機を打ち上げた2024年度の串本町へのふるさと納税は、過去最高の9億570万円に達し、前年度の5億3420万円を大幅に超えた。田嶋勝正町長は「年間20本、30本打ち上がるロケットが町の広告塔になる」と述べ、ふるさと納税のさらなる増加に自信を覗かせた。
そのふるさと納税で集めた資金を使い、打ち上げがない日でも観光客を呼び込める施設「宇宙ふれあいホール Sora-Miru」を整備した。8K映像でロケット打ち上げの疑似体験ができるこの施設は、「打ち上げ当日限り」の集客から「通年集客」への転換を狙ったものだ。
公式見学場のチケット(1枚3000円、2カ所系5000枚)は、初号機打ち上げ時にはわずか2日で完売した。チケット収入だけで1500万円。宿泊付き見学ツアーは大盛況で、全国から観光客が集まった。
さらに踏み込んだ手も打っている。2024年、和歌山県立串本古座高校に、公立では全国初となる「宇宙探求コース」が新設されたのだ。全国から宇宙に関心のある生徒を呼び込み、将来の定住人口へとつなげる長期戦略だ。ロケットがある限り、串本町は脚光を浴びる。その構造を、町は着実に制度と施設で固めている。
これで3回連続の失敗となったが、東京の経済紙は「深刻な打撃」と書く。確かに延期のたびに宿泊キャンセルが出て、臨時列車は取りやめになる。だが打ち上げが実施された日には、見学場のチケットは完売し、宿泊施設は賑わう。ロケットが成功しなくても、全国の人々の目がこの町に向いているのだ。
かつて「本州最南端の漁師町」と紹介されていた串本町に宇宙関連の高校コースができ、全国からふるさと納税が集まるようになった。打ち上げのたびに大ニュースになる町への変貌。それ自体が射場誘致の最大の成果だろう。
(ケン高田)
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