社会
Posted on 2026年04月06日 18:00

銘酒「獺祭」が「もはや工業製品」と嘲笑される「非幻の酒」化の裏で「宇宙醸造」計画と「海外セレブレストラン」展開

2026年04月06日 18:00

 かつて「幻の酒」と呼ばれた日本酒「獺祭」が今、散々な言われようである。
「ドンキの棚に並んでる時点でありがたみゼロ」
「スマホで『だっさい』って打つと『ダサい』って変換される。もう名前が答え出してるじゃん」
 SNSにはかつての銘酒を嘲笑するような書き込みが並ぶ。十数年前、居酒屋で「獺祭ありますか」と聞くだけで通ぶれた時代が懐かしい。あの頃の獺祭は、手に入らないからこそ輝いていた…。

 凋落の原因は明白だ。ブランドの希釈化である。山口県の山奥にあった小さな蔵は、データ管理による四季醸造と大規模な増産体制で、純米大吟醸の出荷量日本一にまで駆け上がった。

 品質を落とさずに量を増やすという理念は立派だが、結果として「どこででも買える酒」になった。イオンの酒コーナー、ドン・キホーテのプレミア棚、果てはAmazonでポチれる。希少性という最大の武器を手放したのである。酒好きが辛辣に「もはや工業製品」と評するのも、あながち的外れとは言えまい。

 意識高い系の酒好きたちは、とっくに次へ移っている。いま彼らが追いかけるのは、秋田の「新政」、熊本の「産土」、三重の「而今」といった、少量生産でテロワールを語れる銘柄だ。インスタ映えする洒落たラベル、蔵元のストーリー、そして何より「手に入らない」という飢餓感。かつて獺祭が持っていた魔法を、そっくりそのまま纏っている。

信じるべきはブランド名ではなく自分の舌

 では、獺祭は本当に終わったのか。答えはノーだろう。蔵元の株式会社獺祭は、すでに次の手を打っている。2023年にニューヨーク州ハドソンバレーに海外初の酒蔵を構え、新ブランド「DASSAI BLUE」を立ち上げた。会長の桜井博志氏が自ら現地に移住して陣頭指揮を執るという力の入れようだ。

 さらに宇宙空間での醸造計画まで進行中だというから、スケールが違う。コンビニの棚で消耗戦を続ける気など、ハナからないのだ。海外セレブやミシュランの三つ星レストランを相手に、日本酒をグローバルブランドへと押し上げる。その壮大な絵図が透けて見える。

 結局のところ、獺祭を「ダサい」と笑う声は、かつて自分が「幻の酒だ」と持ち上げた裏返しに過ぎない。酒の味は変わっていない。変わったのは、飲む側の承認欲求だけである。
 今夜、本当にうまい酒が飲みたいなら、ブランドの名前ではなく、自分の舌を信じたほうがいい。その一杯が獺祭であっても、産土であっても、近所の酒屋に置いてある地酒であっても。

(ケン高田)

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2026年09月25日 11:00

    9月18日から20日までの「国内映画ランキング」(興行通信社調べ)が9月24日に発表された。9月18日に公開されている織田裕二主演の「踊る大捜査線N.E.W.メトロポリスを駆け抜けろ!」は、約14年ぶりのシリーズ最新作。初登場で2位にランク...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    芸能
    2026年09月29日 14:00

    小栗旬が社長を務める芸能事務所「トライストーン・エンタテイメント」が9月28日に公式サイトで所属俳優・坂口健太郎をめぐる週刊誌報道の内容を否定する声明を発表した。〈その記事が元になり、想像に依る誹謗中傷や事実とは異なる内容の拡散等が見受けら...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    事件
    2026年09月29日 21:00

    韓国の京畿道城南市盆唐区(首都ソウルの南南東約20キロ)にある中華料理店「習近平」に中国人の4人組が秘かに押し入り、スプレー塗料やペンキをまき散らしながら店内の備品を破壊するという「ナゾに満ちた事件」が発生した。聯合ニュースをはじめとする複...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/29発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク