社会
Posted on 2026年05月11日 06:30

燃料価格上昇で日本のタクシー料金は「値上げ」…でも正反対の知恵を持つ国があった

2026年05月11日 06:30

 物価高の波が世界を覆う中、日本ではタクシー料金の値上げがじわじわと進んでいる。現在、東京23区では初乗り500円前後で1キロ程度、その後は距離に応じて加算される仕組みとなっており、ここ数年で実質的に1割ほど上昇している。
 背景に原油価格の高騰があるのは明らかで、その要因のひとつである中東情勢、とりわけ昨今のイラン戦争による緊張感の高まりは、さらなる状況変化をもたらしかねない。

 実はこれとは対極的な国がある。東南アジアのタイだ。タイでは燃料価格が上がっているにもかかわらず、タクシー運賃は初乗り35バーツ前後で据え置かれたまま。
 もっとも、庶民の足であるソンテウ(乗合バス、タクシー)はすでに値上げされており、例えばパタヤではそれまでの約10バーツから15バーツ、あるいは20バーツへと引き上げられている。

 交通全体が無風というわけではないが、この違いはどこから来るのか。実はここに「値上げしない」という選択肢のヒントが隠れているのだ。

 タイのタクシーは政府の管理下にあり、簡単には料金を上げられない。そのため運転手や事業者は、料金以外の部分で帳尻を合わせている。
 例えば渋滞の多い時間帯やエリアを避けたり、長距離の乗客を優先したりと、効率よく稼げる走り方を選ぶ。単価を上げるのではなく、稼ぎ方そのものを工夫しているのだ。

日本でEVタクシーが広がらないワケ

 さらに注目すべきは、コストの抑え方。タイでは電気自動車、いわゆるEVタクシーの導入が少しずつ進んでいる。ガソリン代に左右されにくく、維持費も抑えられるため、長い目で見れば利益を確保しやすい。値上げに頼らずに経営を成り立たせるための体質改善と言える。

 ではなぜ、日本ではEVタクシーが広がらないのか。理由はシンプルで、ハイブリッド車が優秀すぎるからだ。燃費が良く、故障が少ないし、すぐに走れる。わざわざ高いEVに乗り換える必要がないのが実情だ。

 そしてこの違いはそのまま、料金に影響する。日本は最終的に値上げで調整しがちだが、タイはコストや運用で乗り切ろうとする。どちらが正しいというより、「値上げしない工夫」があるかどうか。その差が、これからじわじわ効いてくるかもしれない。

(カワノアユミ)

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