社会
Posted on 2025年11月23日 12:00

高市発言に反発して「中国人観光客が激減したらホテルが値下げ」がそう簡単に実現しない「ビジネス裏事情」

2025年11月23日 12:00

 高市早苗首相の「台湾有事で存立危機事態」発言を受けて、中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけたことで、「中国人観光客が激減してホテル代が下がるのでは」と期待する声が出ている。だが現実は、そこまで単純ではないようだ。

 確かに訪日中国人は日本のインバウンドの柱であり、彼らが減れば観光地やインバウンド特化型ホテルの稼働率は直撃を受ける。地方都市や団体受け入れ型のホテルでは、年末までに値下げ競争に入る可能性すらある。反面、都市型のビジネスホテル、特にアパホテルのような大手チェーンでは、状況が全く異なる。

 アパホテルはもともと国内ビジネス客の比率が極めて高く、中国人観光客への依存度は低い。過去に創業者の著書が中国で批判されたこともあり、中国人が積極的に選ばない傾向は以前からみられた。つまり「今回の件で急に減る」という構造ではないのだ。

 さらにアパホテルは「ダイナミックプライシング」を徹底し、需要に応じて価格を細かく調整しているが、不況だから値下げという単純な動きをとらない企業として知られる。むしろ国内イベントや出張需要が集中する年末にかけては、価格が逆に上がる可能性が高い。インバウンドが減っても、国内需要が穴を埋める格好だ。

 事実、大手ホテルチェーンは人件費や光熱費の上昇を抱えており、安売りに踏み切る余裕は少ない。値下げが発生するのは、インバウンド依存が極端に高く、国内客で埋められない一部施設に限られるだろう。
 つまり「中国客激減=ホテル激安」という図式は、少なくとも都市部のビジネスホテルでは成立しないことになる。むしろ年末に向けて価格が上がるホテルの方が多い可能性すらあろう。

 今回の高市発言問題は旅行者にとって「お得なホテルを狙えるチャンス!」かと思いきや、現実は甘くなかった。年末の予約サイトを開くと結局、いつも通りの値段にため息をつくことになりそうだ。

(旅羽翼)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/11/18発売
    ■530円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク