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記事全文を読む→【ヴィクトリアMの大ヒント】寺山修司の言を想起させる「悲運の2勝馬」と「最強の1勝馬」隠れた2強対決
競馬に関する珠玉のエッセーを数多く遺した寺山修司は、「悲運の名馬」と言われたモンタサンへの思いの丈を、「馬敗れて草原あり」の中でこう記している。
〈モンタサンが夏の休暇ですっかり回復し、秋のセントライト記念に勝ったとき、ようやく菊花賞に勝てると思った。モンタサンが京都へ行き、元気で調教を開始したという風のたよりを耳にして、私は幸福な気分になったのを思い出す〉
だが――。寺山曰く、モンタサンはその後、飼料に混じった農薬によって体調を崩し、菊花賞への出走を断念せざるをえなかった。
5月17日(日)のGI・ヴィクトリアマイル(東京・芝1600メートル)にも、かつてのモンタサンを想起させる2頭が出走してきた。いずれも筆者が勝手に命名したものだが、「悲運の2勝馬」としか言いようがないパラディレーヌ(牝4)と、「最強の1勝馬」と言って差し支えないボンドガール(牝5)である。
今年の出走メンバーを見渡すと、エンブロイダリー(牝4)とカムニャック(牝4)とクイーンズウォーク(牝5)による「3強対決」の様相を呈している。
しかし、である。筆者は寺山が悲運の名馬への思いを託したように、今回はパラディレーヌとボンドガールの「隠れた2強対決」と読み替えてみたいのだ。
もちろん、根拠はある。パラディレーヌは昨年のGI・エリザベス女王杯(京都・芝2200メートル)で2着がある実力馬。今回は初のマイル挑戦となるが、それだけに悲運の2勝馬の返上を狙った、陣営の勝負度合いの高さが浮かび上がってくるのだ。
両調教師の「秘めたる意欲」と「隠しきれない期待感」
同馬を管理する千田輝彦調教師(栗東)は、今回の最終追い切り後に、
「ラスト11秒台で動いていて具合はいいです。きれいなフットワークなので、大きな競馬場(東京競馬場)はいいと思う」
そう言ってGI勝ちへ向けた、秘めたる意欲を口にしている。
同様にボンドガールはGI・秋華賞(京都・芝2000メートル)2着の「赫々たる実績」を誇りながら、新馬戦での1勝のみという屈辱的なポジションから、いまだ抜け出せない状況にある。裏を返せば、まさに「最強の1勝馬」なのである。
しかも今回は「1着1回、2着4回」がある、得意のマイル戦への参戦。今週の最終追い切り後、同馬を管理する手塚貴久調教師(美浦)は、
「人気もないので、色気を持たずに乗ってくれれば」
鞍上の丹内祐次への、多大なる期待を隠さなかった。
競馬は「ギャンブル」であるとともに「人生のロマン」という一面がある。筆者は今回、寺山の言葉を噛みしめながら、この2頭に夢を託したいと考えているのだが…。
(日高次郎/競馬アナリスト)
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