4歳上牝馬によるマイルの女王決定戦、ヴィクトリアマイルが今週のメイン。今年で20回目と、まだ歴史の浅いGⅠ戦である。
消長の激しい牝馬によるレースだからか、定量戦にもかかわらず、一筋縄で収まることが少ない。
これまでの19年間で馬単による万馬券は8回(馬連は4回)。この間、1番人気馬は5勝(2着3回)。2番人気馬は2勝(2着1回)。1、2番人気馬によるワンツー決着はわずか1回のみ。昨年は14番人気→4番人気の決着で馬単が30万円(馬連は9万円)。15年は5番人気→12番人気→18番人気で3連単が2070万円という、とてつもない万馬券も飛び出しているが、今年はどうだろう。
まずは顔ぶれを見てみよう。昨年の桜花賞2着馬で、前走はサウジに遠征してGⅡ戦をモノにしたアスコリピチェーノ、福島牝馬Sで初重賞を制したアドマイヤマツリ、阪神牝馬Sの1、2着馬サフィラ、アルジーヌ、金鯱賞を勝ったクイーンズウォーク、重賞で善戦を続けているクリスマスパレード、ビヨンドザヴァレー、ボンドガールなど、まさに多彩である。
しかも、ハイレベルではあるものの、各馬に力の開きがあるとは思えず、馬券的にもおもしろいGⅠ戦とみてよさそうだ。
であれば、今年も波乱の芽は大いにありそうで、予想する側としては、まことに悩ましい。
そこで年齢別成績を見てみると、やはり4、5歳馬が圧倒的だ。過去19年で6歳以上の古馬が勝利を収めたのは、わずか3回(2着2回)。それに比べて4歳馬が9 勝(2着12回)、5歳馬が7勝(2着5回)と、脂が乗る4歳、5歳馬が圧倒的優位に立っていることがわかる。
その4、5歳馬が人気を集める分、6歳馬が好走した時は波乱になる。前述した馬単30万円馬券や3連単2070万円馬券は、ともに6歳馬同士のワンツー決着だったが、今年の6歳馬は補欠3番手のヒルノローザンヌ1頭しかいない。
穴党としては4、5歳馬の中でも、アスコリピチェーノを筆頭とする4歳馬が上位人気に支持されるとみて、5歳馬のアリスヴェリテに期待する。
1800〜2000メートルを最も得意としており、マイルに強いというイメージはない。が、2歳時にはアルテミスSでコンマ1秒差の3着という実績を残しており、対応は十分に可能とみての狙いだ。
昨年、マーメイドSを制したあと、やや不振をかこっていたが、今年に入って再び上昇気配をうかがわせており、この中間は大幅な良化ぶりをみせている。1週前の追い切りもリズムに乗って実によかった。
「前走(福島牝馬S4着)の内容はよく、ようやくこの馬らしさが戻ってきた。中間もいたって順調。相手は一気に強くなるが、牝馬同士なら、そう差はない」
中竹調教師をはじめ、厩舎関係者は、そう口をそろえて状態のよさを強調している。
東京コースに勝ち鞍はないものの、先のアルテミスSを含めて③②③着と、いずれも差のない競馬で相性は悪くない。やや決め手に甘い面はあるが、その反面、相手なりに走る勝負強さがあることは強調していいだろう。
母系は北米のGⅠ血統。良馬場を条件に“一発”があっていい。
穴はラヴェルだ。エリザベス女王杯2着の実績があり、アルテミスSを制しているようにマイル戦への対応力も十分。今年は2度使われて⑨⑪着だが、上昇ムードにあることは確かで、曾祖母が桜花賞馬のキョウエイマーチというように、血統的にも一本筋が通っている。