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Posted on 2026年05月31日 10:00

寺脇研が選ぶ今週のイチ推し!〈リアルな恋愛からネットへ退却。これが40代独身男急増の一因だ〉

2026年05月31日 10:00

「モテない中年 恋愛格差と孤独を超えて」
坂爪真吾・著(PHP新書/1210円)

 書名を一見すると「モテない中年男を揶揄する本か」と早トチリしてしまいそうだが、どうしてどうして。「モテる・モテない」の実例を紹介しながら、考察し、理由を解析してくれる。さらには、明治期から現在までの150年にわたり、恋愛や結婚を取り巻く状況が変遷する歴史の流れが提示される。

 最初に登場するのは、40代にして婚活を始めた独身中年だ。これまでに付き合った女性はいたものの、結婚は「いつかすればいいや」と呑気に構えていた。それが40代になり「すぐに見つかるはずだ」と各種婚活イベントに積極的に参加しているのにもかかわらず、10年経ってもまったく成果が挙がらない。

 決してモテない人生を送ってきたわけではない。安定した営業職のサラリーマンで、高身長の社交的なスポーツマン。高校時代から恋愛経験も重ねている。ところが、当初、お目当てだった10歳以上年下の女性にはまったく相手にされず、同年代にまで範囲を広げても、出会いから先へは一歩も進まないというのだ。

 そう、中年であること自体がモテない原因なのである。なぜ中年になるとモテなくなるのか。大学時代に上野千鶴子や宮台真司から社会学の教えを受け、性風俗業界の課題解決などの社会活動に取り組んできた著者は、独自の視点で議論を繰り広げる。

 かつて、独身のまま終わる生涯未婚率が5%以下で「皆婚社会」と呼ばれた日本が、どうしてこうなってしまったのか。家制度を前提にした見合い結婚が戦前は7割を占めていた。しかし、戦後、民主主義の普及と共に恋愛結婚へ移行し、その割合は7割となったのが70年代だという。

 しかし、80年代になると恋愛が「ハウツー・マニュアル化」し、「コミュ力」に欠ける男性は、リアルな恋愛から「ネット文化」のほうに退却する傾向にある。しかも、それは「自己責任」の結果とされた‥‥との流れが著者の見立てであり、多数の40代独身男性を生んだ一因ともされる。

 では、独身中年諸氏はどうすればいいのか。前出の他にも事例が示されている。こちらは、いずれも離婚経験のある40代だ。そこで、中年孤独の絶望感に陥らぬよう、「他者に対し、報われぬ期待を寄せるよりも自分自身への期待を失わないこと、孤独に慣れるのでなく常に『望まない孤独』を克服しようと思い続けること。そうした発想が人生の原動力になる」と著者はアドバイスしている。

 本業では20年近く夜の世界と向き合ってきた人だけに、精神的な面のみならず、性的欲求の問題についても避けずに触れている。それは、単なる識者による上から目線の人生論とは違って、読者にも受け入れやすいのではないだろうか。

寺脇研(てらわき・けん)52年福岡県生まれ。映画評論家、京都芸術大学客員教授。東大法学部卒。75年文部省入省。職業教育課長、広島県教育長、大臣官房審議官などを経て06年退官。「ロマンポルノの時代」「文部科学省 『三流官庁』の知られざる素顔」「昭和アイドル映画の時代」、共著で「これからの日本、これからの教育」など著書多数。

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