事件
Posted on 2026年06月24日 11:30

旭川「女子高生転落殺人」内田梨湖被告への「懲役27年は軽すぎる」…「裁判官マップ」に書き込まれた「怒り・批判・擁護」で何が変わるのか

2026年06月24日 11:30

「軽すぎる」
「なぜ死刑じゃないのか」
 旭川地裁が内田梨瑚被告に懲役27年の判決を言い渡した6月22日、ネット上には怒りがあふれた。事件の残虐性を思えば、その感情は理解できよう。だが怒りの一部は、担当裁判官個人へと向かった。
 
 旭川地裁の田中結花裁判長は、女子高校生を橋から転落させて殺害した罪などに問われた内田被告に対し、「残酷で卑劣なもの」などと指摘した上で、懲役27年を言い渡した。検察の求刑と同じ結論であり、裁判所が求刑より軽くしたわけではない。「裁判官が甘い」という批判には、この時点で疑問が生じる。

 判決直後、法廷乱入事件が起きた。男が傍聴席側の扉から入り込み、大声で叫んで歩き回った。
「こんな裁判あるか。27年なんて生ぬるい。死刑か無期だろ」
 建造物侵入の容疑で現行犯逮捕。この男に同調、擁護するような反応が出た。ただし、司法への不満を、怒鳴り込みという形で表す権利は誰にもない。

 全国の裁判官の経歴や担当事件、口コミを掲載するウェブサービス「裁判官マップ」というものがある。この担当裁判官のページには判決後、多数の投稿が集まった。
 6月24日時点で口コミ数は702件、平均評価は5段階中2.4と表示されている。量刑への怒り、裁判官を擁護する声、制度批判、感情的な罵倒が入り乱れ、コメント欄は事実上の炎上状態だ。
「求刑通りなのだから裁判官を責めるのは筋違いだ」
「自分の子供が同じような事をされて、この判決で納得できますか?」

怒りはXで増幅されて炎上を続ける

 量刑を「軽い」と感じること自体は、批判としてあっていいだろう。だが正確に言えば、こうだ。今回の懲役27年判決は、検察が求刑した数字を裁判所がそのまま認めた結果。「なぜ無期や死刑でないのか」という批判は裁判官ではなく、検察の求刑判断、罪名の認定、刑法上の有期刑の上限、量刑相場といった制度全体に向けるべきものだろう。さらに言えば、個人の口コミ欄に怒りを書き込んでも、制度は1ミリも変わらない。

 裁判官は公職に就く以上、判決への批判は受けてしかるべき。しかし凶悪事件への怒りが行き場をなくし、個人のページへと流れ込む現象はXで増幅されて炎上を続ける。
 27年を「軽い」と思うなら、問うべきは求刑の根拠であり、量刑制度そのものではないか。裁判官個人の口コミ欄に書き込んでも被害者は救われないし、制度も変わらない。裁判官を叩くことと、司法を批判することはまた別問題なのだ。

(ケン高田)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    スポーツ
    2026年06月12日 14:30

    巨人がセ・パ交流戦15試合消化時点で9勝4敗2分と、白星を積み重ねている。パ・リーグ球団がセ・リーグ勢を圧倒する交流戦で、巨人はセで唯一、大きく勝ち越している。阿部慎之助前監督から引き継いだ橋上秀樹監督代行の、調子がいい選手をとにかく使うス...

    記事全文を読む→
    スポーツ
    2026年06月16日 11:00

    まさにハチの巣をつついたような騒ぎになっている。昨年までロッテ監督だった吉井理人氏が、楽天の新監督に就任することが決まったからだ。混迷を極める楽天らしい、シーズン途中という異例のタイミングである。そんな中、楽天は6月17日の午前中に仙台市内...

    記事全文を読む→
    スポーツ
    2026年06月19日 07:00

    阿部慎之助前監督が去った巨人は、橋上秀樹代行体制で臨んだセ・パ交流戦に、セ・リーグ球団で唯一、勝ち越した。6月19日からはリーグ戦の再開となるが、ここに元巨人1軍打撃チーフコーチが爆弾を投下した。野球解説者・愛甲猛氏のYouTubeチャンネ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/6/23発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク