8月中旬、食欲が減退する盛夏期のお昼どき。この時期の定番ランチといえば「冷やし中華」や「冷やしうどん」などだろう。しかしここ数年、外食チェーンでは酢醤油とカラシで食べる昭和の定番冷やし中華から脱却し、冷たさと強い刺激を両立させた「進化系冷や...
記事全文を読む→寺脇研が選ぶ今週のイチ推し!〈全国紙のコラムは面白くない!?地方記者が忖度なしで一刀両断〉
偏屈者で行こう! 新聞コラム「時代ななめ読み」から
永田健・著(西日本新聞社/1870円)
「偏屈者」を自称する著者は、入社以来44年間、福岡市で発行される地方紙・西日本新聞で記者、論説委員として記事を書いてきたベテランだ。冒頭「全国紙のコラムって面白くないなあ」とケンカを売るようなセリフが飛び出す。
たしかに、政権に忖度したり、唯我独尊の偉そうな論説だったり、朝日、読売などの全国紙は、最近、昔のような批判精神がなく、オールドメディアと軽んじられてしまいがちだ。
これに対して、東京ローカルの東京新聞を含め、地方紙は、地域密着など独自の方向性を打ち出して気を吐いているのだ。著者が執筆する西日本新聞の「時代ななめ読み」も、9年目を迎える人気連載コラムである。本書は、その中から選りすぐった80本ほどを、5つのジャンルに分けて並べてあり、ウィットに富んだイラストや写真が添えられているのもうれしい。
さすが偏屈者。コロナ禍に強行開催された東京五輪への強烈な違和感が吐露されるのも、定年後の男の趣味で人気の「そば打ち」に対して「うどん打ち」にはどうして陽が当たらないのか、と拘るのも、東京中心主義への反発や西日本のうどん文化への愛着が窺える。
いばるオジサンが若い女性から言われたいセリフ「サ=さすがですね! シ=知らなかった ス=すごい! セ=センスいい ソ=そうなんですね」じゃなく、「タ=たいしたことないですね チ=チッ(と舌打ち) ツ=つまんないテ=で? ト=トイレ行きます」と対応するのを推奨するのには、思わず笑ってしまった。
一方で、地方メディアの側から中央の記者たちが見落とす点を指摘する舌鋒は鋭い。24年、水俣病の患者・被害者団体と伊藤信太郎環境大臣(当時)の懇談の場で、被害者の発言中に環境省職員が無断でマイクを切って終了させる一件があったが、全国紙はどこも記事にせず、地元九州の3紙だけが報じて大事件となり、大臣が後日陳謝する展開となったという。権力への迎合も、東京で閣僚や高級官僚と日常的に付き合っている全国紙が陥りやすいとの指摘ももっともだ。
元々が政治・外交担当記者だったから、歴代首相をはじめ、政治家への苦言も辛辣だ。もちろん、現在の高市首相に対しても。また、戦争と平和について九州の視点で考えると、沖縄戦と基地問題、広島、長崎の被爆と核兵器廃絶への願いが欠かせない。
そして、サブカルチャー好きを自認するだけに、そうした話題も豊富だ。カーペンターズ、山下達郎、忌野清志郎、フーテンの寅さん、ゴジラ、巨人の星‥‥昭和を知る人間は共感するだろう。本のどこかに出てくる著者のカッコイイ自画像と実際の写真との対比を、ぜひお楽しみに。
寺脇研(てらわき・けん)52年福岡県生まれ。映画評論家、京都芸術大学客員教授。東大法学部卒。75年文部省入省。職業教育課長、広島県教育長、大臣官房審議官などを経て06年退官。「ロマンポルノの時代」「文部科学省 『三流官庁』の知られざる素顔」「昭和アイドル映画の時代」、共著で「これからの日本、これからの教育」など著書多数。
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