芸能
Posted on 2026年09月20日 18:00

原田龍二「誰がなんと言おうと霊はいる!」〈今週の龍言〉NGがない者同士のほうが役者はいい芝居ができる

2026年09月20日 18:00

 今年7月、佐藤二朗さんと橋本愛さんのハラスメントを巡る騒動が報じられました。もちろんご本人たちから話を聞いたわけではないので、あくまでも僕の役者としての理想で語らせてもらうと、役者はお互いNGがない者同士のほうがいい芝居ができる気がします。芝居の相手が「これをしたら嫌がる」ということを考えた時にもうダメ。100%の表現ができなくなると思うんです。

 実は僕、ある時代劇の本番中にいきなりひっぱたかれたことがありました。通常、本番だけ台本と違うことをする場合は、叩くほうの役者と監督が知っていて、叩かれる側は知らないというケースがあります。

 例えば監督が僕と喧嘩をする相手だけに、

「原田を殴った後、最後『ペッ』と唾をかける芝居をしてくれ」

 と、その場で監督が思いついたであろうアドリブを共有するわけです。監督は唾をかけられた僕のびっくりした表情、思わぬリアクションを撮りたいから。

 でも、この時に僕がひっぱたかれたのは、ひっぱたくことを監督も誰も知らない、叩いた本人だけが本番で原田を叩いてやろうって思って、叩いてきたのです。

 もちろん内心びっくりしましたよ。でも表情には出しませんでした。だってびっくりするっていう芝居はその場面にまったく必要がなかったから。結局その役者は、僕のリアクションを試すために叩いたわけじゃなくて、自分が人を叩くという芝居を優先しただけだったんです。

 その俳優と現代劇で何度も共演しています。その件から、もう大っ嫌いになりましたけどね。

「本番で強く当たるかもしれない」

 大概の人は事前に伝えます。そういうのはよくあることだし、事前に言ってくれなかったとしても、急に叩いた場合、「はい、カット!」と終わった時点で、「ごめんね」と謝るのが普通だと思うんです。彼は叩いたあと僕に何もなし。当人はよかれと思ってやった芝居なんでしょうけどね。

 佐藤さんと橋本さんの場合、夫婦の役だけどボディタッチには制限があったと聞きます。そういう場合、そのルールを守るしかない。守れないんだったら降板すればいいだけの話です。

 いったん仕事を受けたからには試合を成立させるまでリングから降りないのがレスラーです。セメントを仕掛けられたらセメントで戦うしかない。僕はプロレスが好きだから、そういうプロ意識の思考回路になっているのかもしれないけど。

 そもそも週刊文春がこういうふうに報道しなければ騒がれることはなかった。似たようなことって撮影現場でけっこうあるんです。たまたま僕だったから何事もなく済みましたけど、実際は暴行事件になる可能性だってあった。それでケガでも負ったら、「リハーサルと違うことやってんじゃねぇよ」と、詰め寄ることもできた。でも僕はそういうの嫌だからやりませんでしたけど。火種はいっぱいあるんです。

 かつて「ビー・バップ・ハイスクール」に出演した小沢仁志さんは監督から、「本番では中山美穂を殴れ。お前が本当の恐怖を教えてやれ」と指示されて、小沢さんは本番で中山さんに本気のビンタをかましたとか。役者ってある程度はそういう仕事だと思いますよ。狂気じみた世界なわけだから。

 報道では佐藤さんが橋本さんの楽屋を直接訪ねたことも問題になっていました。

 共演した役者が僕の楽屋に乗り込んできて、

「あの芝居、違うよ!」

 などと言われることはしょっちゅうある。監督から、

「お前の芝居真面目だからおもしろくないんだよ!」

 と言われたこともありましたね。それで役者やめちゃう人間もいると思う。僕はやめなかったけど。橋本さんは顎を触られた以前に、何か嫌なことが積み重なってたかもしれないし。その辺りは現場にいないので何とも言えないですね。

 僕は文春砲を食らいましたが逆恨みはしてません。「スネに傷がある」俳優の1人になったけど、スネに傷がなかったら、つまらない人間だっていうイメージになってたかもしれないし。僕はポジティブに受け止める精神構造の人間になってるので、少なくとも「文春、この野郎!」にはなってないです。もちろん、今となってはの話ですけどね。

 よく文春の取材力について聞かれます。が、僕のあの時の記事で、浮気したと表現するために掲載した写真は、実は僕とカミさんが手を繫いでいる写真だったんです。でも出ちまったものは仕方がない。「ここは違う」とは主張しなかった。部分的に反論したところで、しょうがないですからね。

 逆に僕がアドリブで共演者を叩くことはあるのか? 叩かないですね。僕はそこまでの役者じゃない。というか基本的に僕は自分を役者だと思ってない。「ニンゲン」って名乗ってるぐらいですから。だって役者に固執してたら、もっと演技うまくなろうと思うはずですもん。それこそいろんな舞台を見に行ったり、役者とコミュニケーション取ったり。

 それよりも心霊ですよね。役者は自分で仕事を取ってこれない。役者の仕事は来たら、それに立ち向かえばいいんです。結局、求められないとダメじゃないですか。以前にお話ししましたが「この役をぜひ!」と言われたらスイッチ入りますけどね。最近はドラマを見ないです。興味が湧く作品がない。

「この人のこの芝居の続き、来週気になるな」

 と思ったら見るけど。作り物はたかが知れてる。自分がこれまでやってきたことを否定してるわけじゃないけど。「これ本人? こんなことするんだ」というような役がないんです。鈴木亮平さんがいろんな作品で狂気じみた芝居をしていますが、ああいった振り切った芝居なら僕もできますからね。

 ドラマと違ってドキュメントは想像しなかった方向に進んでいくんでやめられません。これからも我が道を突き進もうと思います。

原田龍二(はらだ・りゅうじ)1970年生まれ。東京都出身。92年ドラマ「キライじゃないぜ」で俳優デビュー。「水戸黄門」「相棒」シリーズなど出演多数。温泉バラエティ「湯一無二」(MX)のほかユーチューブ「ニンゲンTV」ではゴーストハンターとしても活躍中!

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