社会
Posted on 2026年09月18日 12:45

【シルバーウィーク注意】ドイツ空港周辺住民が「熱帯熱マラリアで怪死」日本の空港でも見つかった「病原体を運ぶ蚊」

2026年09月18日 12:45

 11年ぶりの5連休となるシルバーウィーク直前に、不気味なニュースが入ってきた。ドイツのフランクフルト国際空港の周辺住民が、マラリアに感染して亡くなったというのだ。
 フランクフルト国際空港では7月から空港職員6人がマラリア・トロピカ(熱帯熱マラリア)に相次いで感染、2人が死亡した。6人はいずれも熱帯熱マラリア流行地域への渡航歴がなく、空港で感染した「空港マラリア」とみられる。

 さらに9月に入ってフランクフルト空港北部に位置するフランクフルト市シュヴァンハイム地区の住民2人も、熱帯熱マラリアに感染していることが判明。現地時間9月17日に、うち1人が死亡したと、フランクフルト市保健当局が公式発表した。
 医療水準の高いドイツで、8人がマラリアに感染して3人死亡。その死亡率37.5%は、かなりショッキングだ。

 熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しないと、脳性マラリアや腎不全、肝障害、貧血による多臓器不全、呼吸困難などを起こして重症化する。医師たちもまさか、ドイツで熱帯熱マラリアが感染拡大しているとは思わなかったのだろう。適切な治療が遅れたとみられる。
 フランクフルト市保健当局は空港関係者だけでなく、空港利用者や周辺住民についても、原因不明の発熱があればマラリアを考慮するよう、医療機関に通達した。

 なぜ、ドイツで熱帯熱マラリアなのか。熱帯熱マラリア発生地域の交通網発達に伴い、WHOはEU各国に貨物室を含む航空機の媒介蚊対策を勧告している。フランスやイギリス、イタリア、スイスでは旅客機と貨物機の貨物室と貨物の殺虫処理を義務づけているが、グローバリズムやポリティカル・コレクトネスの声が大きいドイツでは、いまだ国際線貨物室の殺虫処理をしていない。

 フランクフルト市内では熱帯性マラリアを媒介するハマダラカこそまだ見つかっていないが、今年に入って市内7地区でデング熱やチクングニア、ジカ熱を媒介するヒトスジシマカの生息が確認された。
 ロベルト・コッホ研究所が、ドイツ国内の平均気温上昇によって蚊が媒介するデング熱やジカ熱、マラリアの感染拡大リスクが高まると注意喚起していた矢先の犠牲者だった。

空港周辺の半径400メートルに殺虫剤を散布

 日本も油断できない。厚生労働省検疫所の調べでは、2023年だけで日本国内の空港や港湾で、これら病原体を運ぶ蚊1万8857匹を採集し、中国と台湾などに生息するシナハマダラカが52匹、含まれていた。そのうち1匹は、国際線の客室から見つかっている。

 さらに国立健康危機管理研究機構(JIHS)の報告などによると、2025年には成田・福岡・中部国際の3空港で、ネッタイシマカの侵入が確認された。成田では6月30日、7月16日にターミナル到着エリアなどで、雌の蚊が相次いで見つかったという。福岡でも国際線貨物上屋周辺に設置したトラップから、ネッタイシマカの幼虫(ボウフラ)が見つかった。

 ドイツと違い、日本では蚊が見つかった空港周辺の半径400メートルに殺虫剤を散布しているので、過度に怖がる必要はないが、5連休を利用してヨーロッパへ旅行に行く人、国内の国際空港に行く予定がある人はイカリジン配合の虫除けを塗布、持参した方がいい。イカリジン以外の忌避剤には耐性を持つ蚊もいるからだ。機内持ち込みはできないので、空港に着く前の塗布をオススメする。保育園や学童の外遊び、犬の散歩にも、12月まで虫除け塗布が必要だ。

(那須優子/医療ジャーナリスト)

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