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記事全文を読む→横浜高校・織田翔希「ドジャース入り」報道が現実になると…ドジャースと巨人「70年の絆」への哀しい皮肉
今年のプロ野球ドラフト会議で巨人が1位指名した横浜高校・織田翔希投手の「ドジャース入団報道」が波紋を広げている。
まずは10月23日付のアメリカ版Yahoo!ニュースが「ヤンキースかドジャースが織田を獲得か」と報道。ニューヨークポスト系列カリフォルニアポストのドジャース番記者ディラン・ヘルナンデス記者も25日付の記事で「ドジャースが織田を獲得」と報じた。日本国内のテレビとスポーツ紙も現地報道を紹介する形で「ドジャース入りの可能性」に触れている。
織田とメジャーリーグの入団交渉は2027年1月15日から始まる予定で、1位指名した巨人の交渉権は2027年3月31日まで。ところがSNS上では「ドジャース入団」報道が暴走し、織田に批判的な投稿が書き込まれている。織田自身は、
「世界で活躍するという目標に向け、アメリカの地で挑戦することに決めました」
と語っただけなのだが……。
なぜ18歳の挑戦が批判されるのか。それはドジャースと読売巨人軍に、70年来の特別な関係があるからだ。
1956年、当時の鳩山一郎内閣の国務大臣で、読売新聞社主兼巨人軍オーナーだった正力松太郎氏は読売新聞スポーツ部門顧問だった鈴木惣太郎氏をニューヨークに派遣。ブルックリン・ドジャース時代のドジャースに来日を要請した。正力氏と鈴木氏は戦前の1934年にもアメリカ選抜のベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、ジミー・フォックスらを日本に招いている。
鈴木氏はドジャース会長となる球団社長兼筆頭オーナーのウォルター・オマリー氏を口説き、ドジャースはジャッキー・ロビンソンやデューク・スナイダー、ギル・ホッジスら前年のワールドシリーズ優勝メンバーが、第二次世界大戦後初となる日米親善野球のために来日した。
ブルックリンドジャースは後楽園球場での10月19日の試合で巨人と対戦したほか、日本各地で19試合をこなし、15万人を動員した。11月1日の広島戦では試合前に原爆犠牲者を追悼、市民球場に平和を願うプレートを寄贈している。
もしダーティーなイメージがついてしまったら…
ドジャースのフレスコ・トンプソン副社長は来日中に「ドジャースは日本選手との契約を目的として来日したのではない」と繰り返し強調。70年前から日本の選手との契約は日米野球界のセンシティブな案件だったことが伺える。
それでもドジャースは1961年、1963年、1966年の3度にわたり、長嶋茂雄の入団を正力氏に直接、申し入れている。今となってはミスターのメジャー入りを見たかった気もするが、このとき長嶋が渡米していたら、今のような日本球界はなかっただろう。
2023年、大谷翔平がドジャースに移籍した際、ドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長(当時)は移籍会見の冒頭、鈴木氏の紹介状を持って渡米し、ドジャース用具係となったアイク生原氏に言及した。ウォルター・オマリー元球団会長と、用具係から会長補佐まで昇進した生原氏の信頼関係がその後の野茂英雄、黒田博樹、前田健太らの入団につながったと語っている。
日本人選手がドジャースに入団する土壌を作ったのは正力氏と鈴木氏、生原氏、ミスタープロ野球、そして「ファーストペンギン」と称される野茂だ。ドジャース来日70周年記念イヤーに巨人を蹴ってドジャースと契約する選手が登場したら、哀しい皮肉というしかない。
先走る報道の結果、何も語っていない織田に「日本球界より推定5億円の契約金」というダーティーなイメージがついてしまったら、それは過去のドラフト会議で江川卓や桑田真澄の「黒歴史」を作り出した巨人の強引なスカウト方針に問題があるのだろう。
(那須優子)
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