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Posted on 2015年08月09日 17:56

夏の甲子園「伝説の激戦」“1998年《愛知・豊田大谷VS山口・宇部商》”

2015年08月09日 17:56

20150813c2nd

*

1998年(第80回大会・2回戦)

豊田大谷(愛知)3-2 宇部商(山口)=延長15回

*

 お盆の日曜日、第3試合には春夏連覇を狙う松坂大輔の横浜(神奈川)と、1回戦でノーヒットノーランを達成した杉内俊哉を擁する鹿児島実業(鹿児島)の大一番が控えていた。多くの観客はその試合を目当てに足を運んでいた。

 しかし、その前の試合で2対1とリードしていた宇部商は、9回に2死一、三塁から豊田大谷に捨て身のダブルスチールを決められ、同点。試合は延長戦に突入する。

 第3試合目当ての観客はお預けを食わされた格好に。延長に入って、宇部商は毎回のように好機を迎えながらも、あと1本が出ず、試合を決められないでいた。

 15回表も宇部商は2死満塁としながらも決定打を欠いて、またしても無得点。「おい、もういいかげん、この試合を決めてくれよ」。そんな思いになった人も多かったのではないだろうか。

 15回裏、豊田大谷は安打と失策で一、三塁とチャンスを迎える。宇部商は満塁策を取った。無死満塁となって8番打者を迎えた藤田修平投手の4球目。いきなり球審の両手が上がった。その瞬間は何が起こったのかわからなかった。

 豊田大谷の三塁走者が万歳をしながらホームインし、スタンドで見守った5万人の観衆は「試合が終わったんだな」ということを理解した。そして、しばらくしてから宇部商の藤田投手がボークを宣告されたということがわかったのである。

 藤田はセットポジションに入ろうとしてプレートを踏んだまま、サインを確認するつもりで、少し動作を中止した。それを林清一球審は見逃さなかったのだ。2年生の藤田は「何が起こったか、わかりませんでした」と泣き崩れた。それを見ながら3年生の上本達之捕手は下級生をかばう。

「サイン変更は僕のミスです」

 延長15回、12時5分に始まった試合は、3時間52分という長い激闘の末、あっけない形で決着。史上初のサヨナラボークを宣告した球審の勇気にも敬服するが、大一番の前の前座的立場の試合が、見どころ満載の伝説となったのだった。

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