まず、気になる売上高だが、11年3月期では、477億円。この数字は2年前の09年3月期と比較すると、488億円から微減となっているものの、決して急激な経営悪化に結び付くような結果ではない。
だが、企業財務に明るいジャーナリストによれば、決算報告書から読み取れる収益力の低下が吉本の現状に深い影を投がけてていると言うのだ。
「09年3月期には売り上げに占める利益の割合、すなわち売上利益率が19・6%から14・2%に減少しています。しかも営業利益ベースでも、償却負担を抜きにした黒字額が43億円から、24億円強と大幅に減額している。恐らく吉本の場合、考えられるのは、芸人やタレントの出演料の単価がこの不景気で下がっているケースや、今後の事業のための投資コストの負担が先行していることもありえます。恐らく両方の要素が、吉本の収益力を奪っている結果となっている。今後についても震災の影響もあり、まだまだ予断を許さないでしょう」
さらに、現在の吉本が抱える最も差し迫った問題といえば、多額の“借金の返済”なのである。
1912年創業の吉本は、49年に芸能事務所として初めて株式市場に上場した企業だった。ところが、現在の大崎洋社長は「安定株主の下で経営を行いたい」として09年に、放送局、創業家資産管理会社など14社が出資するファンド会社による株式公開買付(TOB)により、10年2月に上場を廃止。その際にかかった資金を、現在も吉本は「のれん代」として償却し、毎年多額の資金を返済している。これが吉本の経営を悪化させる最大の要因となっているのだ。
「吉本が行ったTOBは、公開買付→上場廃止→一般株主の追い出しという、上場廃止としては一般的なスキーム(枠組み)。公開買付に必要だった500億円の資金のうち、吉本側は約180億円を借金で賄ったと推定されます。そのため、上場している時にもともと吉本にあった120億~130億円の現預金に対し、有利子負債が30億円強しかない、実質、無借金経営だった吉本は、非公開化によって一気に約180億円の借金を背負うことになった。そして、12年3月期も40億円ほど償却が見込まれるので赤字は確実でしょう」(前出・ジャーナリスト)
つまり、上場廃止のために資産の大半を売り渡し、多額の借金までしたことが現在の吉本の苦境を招いた原因だと言うのである。
吉本関係者も言う。
「借金の返済に困るほどではないけれど、非公開化で大幅に財務体質が悪化したことは明らかです」
そして、最終損益は11年3月期で30億円を超える赤字。11年4月から9月までの半期で15億2000万円の赤字と、惨憺たる数字なのである。
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