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手渡された錠剤と、真剣なまなざしで見つめてくる野村氏を交互に見ながら、さてどうしたものか、と必死に頭を働かせる。すると、笑いながら野村氏が語りだした。
「それは医者から処方された『ベタナミン』っちゅうナルコレプシー(睡眠障害)用の薬や。確かに眠くはならなくなるけどな。今も血圧の薬とか飲んどるんやけど、わざと『グリーニー飲むか』って言って飲むと周りが怪しむからおもしろいで」
そのおもしろさはわからないが、野村氏は饒舌に続けた。
「ほんまもんのグリーニーはすごいで。某選手がキャンプ中、二日酔いで立つのもフラフラな状態やったんや。せやけど、グリーニー飲んだら2時間後には元気に練習に参加して後輩選手にかかと落としをきめるぐらいや。それにしても、キミもクマにハゲに大変やな。まぁ、親父さんがハゲてへんかったら大丈夫や。長谷川(滋利氏)なんて親父がハゲとった。せやのに諦めず、若い頃から1万円以上もするシャンプー使ってたわ。『ムダづかいやから、いいかげん諦めえや』と何度も言うたわ」
引き合いに出される長谷川氏も迷惑だろうが、オリックスの同期であり、ともに海を渡りメジャー戦士として活躍した間柄からか、氏への“ゆがんだ愛情表現”は尽きない。長谷川氏がネット上で公開している「チェンジアップの簡単な投げ方」の動画を見ながら、
「長谷川はすごいピッチャーやった。けど、オリックス時代に何度練習しても(チェンジアップは)投げられへんかったのに、誰でも投げられるとか、よう言うわ」
と、釘をさす場面もあった。そのまま自然に話を野球に移すと、関心の的は大谷翔平である。
「投球時のグラブの位置がおかしいわ。胸に構えたなら上か下に力強く動かして力をつけるんや。メジャーの大選手たちを見習え! 大谷もメジャーで勝てることは勝てるやろうけど、打者がバットにすら当てられない160キロには程遠いわ! 160キロ投げるんなら当てられちゃあかん。それを投げられる素質はあるのに何で周りは指導せんのか。俺が指導したいわ」
野村氏はプロを目指す青少年の個人育成を担う「LO & DA合同会社」を設立している。気になるのがその名前の由来だ。問いただすと「Limited Over & Breed Ability」の略語であり、「限界を超えて、能力を育てる」という願いを込めているそうだ。だが、それならば「LO & BA」になるのでは‥‥。
「『b』と『D』を間違えたんや。設立して2年たってから気づいたけど、まぁええかなって」
なぜ「B」ではなく「b」なのか。腑に落ちず、再び問いただすと野村氏は視線をそらすのだった‥‥。
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