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風船にUSBメモリーを…
中朝国境の北朝鮮側の住民は、ひそかに中国の携帯電話を所有している。中国側の基地局から漏れてくる電波を利用して、韓国に住む知り合いや家族と連絡を取り合い、貿易や北朝鮮脱出の段取りを話し合っているのだ。
ところが脱北者の男性によれば、
「最近、北朝鮮にほとんど電話が通じない」
という。北朝鮮当局が妨害電波を出して、携帯電話の使用を邪魔しているためだ。
情報の遮断は、かつてほど容易ではなくなっている。首都・平壌では、政府公認の携帯電話が100万台を突破している。
もちろん平壌に住む外国人の携帯電話は、海外にはかけられないよう外部とは遮断されているが、
「携帯を持っていない人間はビジネスの相手にされない」(朝鮮総連系の実業家)
と言うほど広く浸透しているのが現状である。
さらには、パソコンも予想外に普及している。在日の親戚が持ち込んだり、中国から中古を輸入しているらしい。インターネットは使えないので、主な目的は韓流ドラマの鑑賞だ。
これに目をつけた韓国の人権団体は最近、風船にUSBメモリーやDVDを付けて、北朝鮮に向けて飛ばしている。収録されているのは、北朝鮮のひどい現状や金一家の独裁批判などの情報だ。
これまでは「世界人権宣言」などを印刷した紙に1ドル紙幣を付けて飛ばしていたが、USBメモリーやDVDはビラに比べ、はるかに多くの情報が入る。北朝鮮当局もこういった「新時代のビラ」に神経をとがらせているという。
携帯やパソコンだけではない。平壌では今、タクシーが急増中だ。公営のバスや地下鉄に乗るのはもはや格好悪い。多少高くても、タクシーに乗って目的地に行くことがステータスシンボルとなっている。平壌を頻繁に訪れる日本人研究者はこう話す。
「中国企業と合弁のタクシー会社が8社生まれ、400台が市内を走っているが、それでも足りない」
平壌のリッチな奥様方の間では、敵国である韓国の化粧品を使うことも流行している。
食料危機の北朝鮮で、なぜこうした「小金持ち」が増えているのか。それは小規模な市場が発達し、商品を売り買いし、お金を稼げるようになったためだ。売るのは、自宅の庭に植えた農作物などだという。隣国、中国との貿易が活発化しており、物資の横流しなどで利益を得られるようになったことも大きい。
こういう人たちは、政府が自分の財産を没収するような政策を出せば、徹底的に反発する。逆に、何もしてくれない自分の国への忠誠心は薄れる一方だ。
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