エンタメ
Posted on 2012年07月18日 10:54

早世のマドンナたち④ テレサ・テン 「日本の父」が憤怒した突然死の真相(3)

2012年07月18日 10:54

一回り年下の自称カメラマン

84年に「つぐない」で、85年に「愛人」で、86年に「時の流れに身をまかせ」で、テレサは日本有線大賞と全日本有線放送大賞の、いずれもV3でグランプリという史上初の快挙を達成する。酒場の主役が有線だった時代、テレサの歌は街のあちこちに息づいていた。

 85年12月には日本で唯一の本格的なコンサートをNHKホールで開き、デビューから10年以上を経て「紅白歌合戦」にも初出場を決めた。

「新人賞の時もテレサは泣いて喜んだけど、やはり『紅白』に出場することは格別の思いがあったようです」

 舟木は、さらに9年が経った94年10月23日、テレサのヒット曲になぞらえるなら〝別れの予感〟を味わう。結果的に最後の来日となったのは、NHKのチャリティーコンサートに出るためだったが─、

「その年の春から風邪気味が続いていたけど、この来日は直前まで点滴を打っているほど具合が悪かった。日本からスタッフが香港まで迎えに行き、それから名古屋を経由して会場の仙台に乗り継いだんです。番組のテロップに『体調不良を押して』と入れてもらったほど、テレサにしては声が出ていなかった」

 こうした状態が続き、テレサはタイ・チェンマイのホテルに滞在して静養するようになる。同行したのは、テレサがパリでレコーディングした際に知り合ったピエールという「自称カメラマン」だった。テレサより一回りほど年下の、いかにもジゴロの匂いがする男である。舟木はピエールに会った時に彼が撮った写真を見せてもらったが、ただの素人にしか思えなかった。

 作詞家の荒木とよひさは、ようやくテレサの新曲となる詞を書き終えた。そのタイトルは「忘れないで」であったが、テレサによって歌われることはなかった。

「また日本で歌いたいって聞いてて、ちょうど歌が完成して、僕の事務所で『よかったね』と話していたら‥‥亡くなった知らせを聞いたんです」 舟木は亡くなる少し前にテレサと電話で話した。

「今、どこにいるの?」

「タイで休暇を取っています」

「そうか、じゃあ都合のいい日ができたらタイに行くよ。レコーディングの段取りを決めよう」

 それが最後の会話となった。舟木は後に、テレサの弟からホテルの廊下で倒れ、そのまま絶命したと聞かされた。その時、ピエールはチェンマイに遊びに行っていたとも‥‥。

「彼がそばについていたら、すぐに救急車を呼んでいれば助かったんだと思います」

 さらにピエールは、テレサが建てた香港の豪邸を「遺産」として要求し、遺族の逆鱗に触れている。

 テレサが歌うことのなかった「忘れないで」は、アグネス・チャンなど多くの歌手によって蘇った。そのタイトルのままに、テレサ・テンの歌世界は記憶から消えることはない。

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    スポーツ
    2026年05月18日 07:15

    スポーツの歴史にはしばしば、監督やコーチと選手の「師弟愛」がクローズアップされる。しかし、師が放ったひと言をきっかけに、長年培ってきた関係に終わりが告げられることに。それが2003年11月16日、名伯楽の小出義雄監督が「Qちゃん」こと高橋尚...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年06月07日 08:00

    ピン芸人の中山功太がバラエティー番組の収録中に語った「10年間ぐらいずっといじめられた先輩がいる」と告白してからしばらくが経つが、あの騒動が芸人の間で「ひとごとではない」として波紋が広がり続けているという。問題の「先輩」とされるサバンナ・高...

    記事全文を読む→
    女子アナ
    2026年06月04日 11:45

    元ウェザーニュースキャスターの檜山沙耶が、2026年7月31日正午をもってオフィシャルサイト「Hiyama Saya Official Site」を閉鎖すると発表した。有料会員は同時刻に自動退会となり、年額会員には残期間分が月割りで払い戻さ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/6/9発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク