事件

アサヒ芸能「スクープ大事件史」Vol.4(3)コンクリート詰め殺人犯がアサヒ芸能編集部を訪問

2016_60th_l-2

 65年12月4日、午後4時20分ごろ、編集部に「記事のことでお話ししたい」という男の声の電話があった。たまたま応対した平塚記者は、30分後、庄司竜太郎(29・当時)に会った。

 アサヒ芸能1965年12月19日号では、

〈「いずれ近いうちに発覚すると思うが、ぼくは3カ月前(後の調べで4カ月前)に売春婦をしていた女房を殺して、コンクリートで固めてしまった。死体はアパートの押し入れに置いてある」

 男の口から出た言葉は、とてつもない話であった。平塚記者は、自身の耳を疑った〉

 男は、前に勤めていた会社の身分証明書を持ち出し、妻の氏名、本籍までもつけ加えた。

 マユツバな話と編集部では最初そう判断した。彼は明日もう一度訪ねてきて、自首するといい残して帰っていった。しかし、彼は現れなかった。

 翌12月6日、念のため、所轄の愛宕警察署に届け出、確認したところ、彼のいう妻の本籍、氏名、年齢まで一致したのだ。記者たちは裏付け調査に走り、元の勤務先にいた庄司の妻・鶴田由紀子さん(31)の妹に聞いた、ふたりが住んでいた目黒区のアパートに行った。

 愛宕署に連絡し、カギのかかったドアをこじ開けたところ、大きなコンクリートのかたまりがあったのだ。

 それと前後して、庄司は「自首するために」編集部に訪れ、殺人事件の全貌を告白した。そして午後7時前、かけつけた愛宕署員に任意同行された。

 アサヒ芸能1965年12月19日号では、庄司告白の全貌を独占掲載した。

〈ぼくが由紀子と知り合ったのは3年ほど前、当時、由紀子は渋谷のガード下の屋台にいました。いわゆる屋台売春をしていたのです…。由紀子には男はなく、ヒモもいなかったのでズルズルと一緒になったのです(62年5月頃)…。

 ぼくたちは、ほんとの夫婦でした。結婚すれば売春はやめてくれると思ったのです〉

 しかし、庄司が会社から帰り疲れて寝てしまい、目が覚めると由紀子さんはいない、そんな繰り返しだったという。

 庄司はトツトツとした口調で、事件当日の模様を語ってくれた。7月31日、朝早く江ノ島に海水浴に行き、8時頃、目黒のアパートに帰り、ビールを飲みはじめたという。

 由紀子さんは「今日は仕事に出ないから」と約束してくれていたのだが、10時頃「これから行く」と言いはじめた。11時頃「出て行く」と言って暴れ出し、庄司にむしゃぶりついてきた。庄司は由紀子を殴り、思い余って腹巻で首を絞めてしまった、と告白した。

〈殺して2日後、由紀子は腐りはじめました。ぼくはすぐそばの建材店で家庭用の小袋セメントを6個と砂をバケツに4杯買いました。部屋にタライを持ち込み、モルタルを作り、由紀子を緑色の毛布に包み、押し入れにコンクリを流して乗せ、上からさらにモルタルを流してすっぽり固め、まわりを木の板ではりつけたのです。そして、押し入れに安置しました〉

 庄司は由紀子さんの前に花や線香をときどき供えて、この4ヶ月を過ごしてきたという。

〈ぼくは何を書かれてもいいのです。が、由紀子は売春婦というだけで、悪く書かれるに決まっているのです。で、僕は週刊アサヒ芸能を通じて、真相を世間に知ってもらいたいと思ったのです〉

 愛宕署の取調室で記者が庄司と一問一答を試みた際、彼は、

「栃木県の黒磯温泉で睡眠薬を飲んで投身自殺をはかりました。なかなか死ねないものですね」と述懐。かたわらの牧善次巡査部長が、「自殺などもう考えるな、後のことは心配しちゃいけない」と励ましたとき、口端を痙攣させて目が大きくうるみ、はじめて涙を見せた。

カテゴリー: 事件   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
2軍でもダメ…巨人・リチャードの打撃はどこが問題か?デーブ大久保の「ワンレッグ・ステップ」分析
2
巨人・甲斐拓也「自信満々の交流戦データ」がまるで役立たず…1イニング複数失点の「起用問題」
3
「3Aで戦力外」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「俺のところに来たら化ける」再生プランの本気度
4
阪神・佐藤輝明の「ホームラン確信歩き」よりも問題視されていた「あの行為」
5
朝日新聞も把握できない国民民主党「山尾ショック」ダメージと「都議選の票」の関係