社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「悪い食べ合わせで体が不調になることも。体が一番よく働く食べ合わせとは?」

 読者の皆さんは夏バテしていないでしょうか。今は大丈夫でも、お盆を過ぎると蓄積した疲労が出てくる時期でもあります。冷たい飲み物の飲みすぎや冷房の効きすぎなどに注意して、日々、体に優しい生活をしたいところです。

 今の時期に注意したいのが「食べ合わせ」です。「すいかと天ぷら」「うなぎと梅干し」など、昔から「相性の悪い食べ合わせに注意しなさい」と言われてきましたが、この両者、どちらが悪い食べ合わせでしょうか。

 食べ合わせは、一緒に食べることで健康を害したり、食材それぞれのうまみや栄養素を打ち消したりしてしまうなどの特徴があり、「よくない食べ合わせ」の代表例が「すいかと天ぷら」です。

 胃に入った食べ物は「酵素」によって消化されますが、消化酵素が活性化するのは36度から37度だと言われています。つまり、体内の油を分解させる適温は36~37度=体温となるのです。

 一方、細菌の消化酵素も同じ36~37度で働きます。例えば肉類を夏の室内で放っておくと、あっという間に腐ります。5度の冷蔵庫で保管すると1週間、マイナス5度の冷凍庫だと1カ月傷まないのは、細菌がついていても酵素が活性化せず、細菌を活動させないからです。

 また、油がついた食器を洗う際、お湯で洗うと水より何倍もよく落ちますが、これも同じ理屈です。

 こうした原則を踏まえれば、油ものをとったあとに冷たいものを飲むと、胃の内部の温度が下がることで脂質は消化しにくくなり、胃もたれや胃痛を引き起こします。

 したがって、油ものと冷たいものの食べ合わせは相性が悪いのです。

「すいかと天ぷら」のみならず、揚げ物+アイスクリームなどの氷菓子なども「悪い食べ合わせ」です。天ぷらを食べる時はビールではなく、熱燗が体に優しい組み合わせなのです。

 一方の「うなぎと梅干し」は、医学的には悪い食べ合わせではありません。塩分とカリウムを含む梅干しは夏バテ防止に最適です。うなぎの脂っこさを梅干しのさわやかさが消してくれる効果すらあり、食欲増進につながります。

 昔から「うなぎと梅干し」が悪い食べ合わせと言われるのは、食欲が増して食べすぎてしまうためかもしれません。また、ともに「う」で始まるなどゴロ合わせから言われている説もあります。

「油もの+冷たいもの」の他に相性の悪い食べ合わせが「トマトやレモン、いちごなどビタミンCの多い野菜・果物」と「きゅうり」です。きゅうりにはビタミンCを破壊する「アスコルビナーゼ」という酵素があるため、野菜サラダにはきゅうりを入れないほうがいいのです。しかし酢を加えるとアスコルビナーゼの働きを抑えるので、きゅうりの入った野菜サラダが出てきたら酢入りのドレッシングをかけるとよいでしょう。

 このほか、よくない食べ合わせが「ドリアンとビール」です。東南アジア産で強い甘みとビタミンB1などの栄養が豊富なドリアンにビールが加わると、ドリアンの発酵成分とビールの酵母が合わさり、胃の中で発酵し、ガスが発生しやすくなります。「胃が破裂して死ぬ」というのは都市伝説ですが、体調不良を起こす可能性は十分にあります。また、ビールやコーラのような炭酸飲料は、無理をせず間隔を開けてゲップをしながら飲むのが正しく、調子に乗っての一気飲みは胃を張らせるので、医学的にはNGです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
2
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
3
「コーチに無断でフォーム改造⇒大失敗」2軍のドン底に沈んだ阪神・湯浅京己のボコボコ地獄
4
フジテレビ・井上清華アナ「治らない顎関節症」と「致死量ストレス」の不穏な関係
5
【大騒動】楽天・田中将大が投げられない!術後「容体不良説」も出た「斎藤佑樹との立場逆転」