芸能
Posted on 2013年01月08日 01:00

萩本欽一が初激白、百恵ちゃんが挨拶に来ない理由

2013年01月08日 01:00

 72年10月15日、百恵は「スタ誕」の予選に出場した。神奈川・横須賀生まれの13歳の少女は、まだ純朴だが、どこか大人びた一面も見せた。萩本は、少女のたたずまいに不思議な気配を感じた。それは淳子を初めて見た時と真逆の感想だった。

「ゲストに西城秀樹くんや野口五郎くんがいても、彼女はキョロキョロするでなく、じっと後ろから見つめているのね。そのまなざしを3メートルくらい横から見ちゃった。その瞬間、この子には有名になってほしいと心から思ったね」

 萩本によれば、予選で1番に輝いていたのが淳子、2番目は会場の得票だけで合格ラインに達した石野真子、そして最も輝いていなかったのが百恵だった。

 それでも、今の言葉で言う「ブレていない」姿勢は感じた。萩本は番組スタッフに「あの子は何か背負っているものがあるの?」と聞いた。

「母親と妹の3人で暮らして、新聞配達で家計を助けています」

 萩本は、同情とは別の部分で、その執念を理解した。立っているだけで哀愁を感じさせ、この子が有名になることで幸せになるなら後押ししたいと思った。

「それは百恵ちゃんと清水由貴子(09年に自殺)の2人だけだったね‥‥」

 72年12月、決戦大会に進んだ百恵に20社のプラカードが上がり、無事に歌手への糸口が見つかる。所属は森昌子と同じホリプロで、レコード会社はCBS・ソニーに決まった。

 その準備の期間に、萩本は番組の審査員であり、初期の百恵の曲を数多く手がけた都倉俊一からこんな話を聞いた。

「僕がピアノでレッスンをつけると、ほとんどの女の子は音を上げて泣き出す。ところが1人だけ泣かない子がいて、それが百恵。あれは見つめているところが違うのかな。とんでもない子になるかもしれない」

 73年5月、百恵は「としごろ」でデビューした。淳子より3カ月遅かったが、前年デビューの森昌子とともに「中3トリオ」を組むことになる。

 3人より学年で3歳下の筆者は、デビューから1カ月は「スタ誕」で披露される百恵の姿を追った。後楽園ホールの客席に立って歌う「としごろ」は、まだ1オクターブ半しか音域がなかったらしく、たどたどしくはあったものの、清潔感に満ちていた。あの時代の誰もがそうであったように、中3トリオの新曲が出るたび、テレビやラジオで夢中になって追いかけた。

 そのデビュー直後、萩本は意外な一面を知る。

「デビュー曲コーナーに出ることになると、司会の僕のところに挨拶に来るわけ。ところが百恵ちゃんは来なかった。あとで聞いたら、自分はそんなに有名になれない。たぶん1曲歌ってサヨナラだから、挨拶に行ったら逆に失礼にあたる─そんなことを思っていたらしいのね」

 1曲どころか、百恵は写真家・篠山紀信が「時代と寝た女」と評したほどの人気を獲得していった。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月22日 20:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月17日 20:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月24日 20:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/6/24発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク